僕らの恋心


□拓真の妹 現る
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***

温かい日の光りがさんさんと降り注ぎ、辺りの木の葉が緑色に美しく輝いている頃――


「ふぁ……眠い」

学校の屋上で寝そべる一人の少年がいた。


黒い髪がさらさらと風に靡き、対象的な紅蓮の瞳には青空が映っている。


彼――鈴木 拓真は欠伸をしながら授業中の時間を屋上で過ごしていた。


彼は、理数系や体育以外の授業には興味がないので、学校生活のほとんどを屋上でサボっているか、教室で寝ていた。


「次の授業ッてなんだっけ…」

ぼっとしている頭で考えていると、ガチャリと屋上のドアが開き、一人の少年――瀬川 輝が息を切らせながら屋上へと慌ててやって来た。

「拓真!!…はぁ…何してんだよ…っ!」


藍色の瞳が拓真の姿を捉え、彼が寝そべっているタンクへと小走りで近付いて来る。


「おぅ輝か…どうしたんだ?」

「どうした……じゃねぇよ!
お前…体育だってのに、何してんだよ? 出なくていいのか!?」

拓真は、輝の言葉にハッとし、急いでタンクから飛び降りた。

「おっ、そっか! やっべ…忘れてた」

「いいから早く行くぞ!! ほら体操着持って来たから」

そう言って持ってきた体操着袋を拓真へと投げた。

「ありがと…おっしゃ行くか!!!」

二人が体育に行く為に急いで走り出そうとしたその時...



   <ブーッ ブーッ>

拓真のポケットに入っている携帯のバイブが鳴った。


「ん…? 携帯が鳴ってる」

拓真は急いで携帯を取り出し、ディスプレイを見て驚いた。

    《Coal:母さん》


「母さんだ…なんで母さんから電話かかってきてんだ?」

「何してんだ!? 早く行くぞ!」

「お…おぅ!!」

通話ボタンを押そうとしたが、輝に急かされ、鳴っている携帯をポケットへとしまい込んだ。

【なんかあったのか? 後でかけ直そう…】


この時拓真は何か嫌な予感を感じた。


がしかし、今は電話よりも体育に間に合う事が先決と思い、輝の後を追う為に走りだした。


まさかこの時の嫌な予感が本当に当たるとも知らずに――




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