アランの章2
□story8 〜脱出〜
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彼奴は、恐ろしく強かった。
俺は
陰獣の蟹だ。
ヤングさんの元で働き、
陰獣となってからずっと
人を殺めたりするなんて事は日常茶飯事だったから…
だから、吹っ切れた奴と闘うのはこれが始めてではないから分かる。
なんだこいつは!!
吹っ切れた事とは無関係に、強い!!
【音叉の剣】がアランの一打で地面に突き刺さる。
その一瞬の隙…
く、くそっ!!
剣を手放し、
瞬時に後ろへ跳び退いた。
ベンズナイフが肌着を切り裂く感触…
0、01秒遅かったら死んでたな。
蟹はメガホン銃を構え、
ビブラート・オブ・ウォール!!
【音壁】
ビブラート オブ ピアノ
発射!!
ゴゥォオオン!!
凄まじい轟音と共に
フロアの左半分が消し飛び、
同時にアランが消えた。
蟹:「まぁ…このくらいで死ぬような奴じゃないってのは解っているけどな。
早く出て来いよ。」
マフィアの死体の中からひょっこり顔をだしたアラン。
蟹:「死体をクッション代わりに…
しかし、音速340m/sに対応できるとはな。」
アラン:「こんな狭い空間で出す技じゃねぇよ…。
音の壁なんてな」
蟹:「よく見抜いたな。
敵ながら天晴れだ…」
アラン:「音速で音源を飛ばす…か。
恐らく変化系か放出系。」
蟹:「変化系だ。
てめぇは!?」
アラン:「同じく。」
蟹:「そうかい。殺してしまう前に、お前の能力を一度でも見てみたいものだな。」
アラン:「悪いがもう発動している。
気付かないか!?」
なんだ!?
『凝』!!
すると
アランの右手からは、
高熱が迸るように吹き出し
フロア全体に広がっていた。
蟹:「なんだ…この暑さは…」
アラン:「現在の室温
33℃
この調子で室温が上がり続ければ
お前は焼け死ぬぜ!?」
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