徒然青春記

□なな。夏休み編
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 じりじりと焼けつくような日差しが、ホースによって撒かれた水を虹色に輝かせる。
 鮮やかな緑に染まる中庭で、植木にこそこそと隠れて聞き耳をたてる生徒が三人。
 校舎の渡り廊下を歩いていた祐一はその怪しい動きをしている生徒に眼を止めると、小さく溜息をついた。
 本心では放っておきたい一心だが、立場上そういうわけにもいかず、仕方なく中庭に出て生徒達の方へと向かった。

「何してるの」

 素気なく問いかけた祐一の声にビクリと肩を震わせた三人は同時にゆっくりと振り返った。苦笑いを浮かべながら振り返った三人のうち一人が言葉を漏らした。

「せ……生徒会長……」
「コソコソと何をしていたんだ?」

 知らない者はいない、生徒会長こと祐一が三人を物色するように眺めた。制服の襟についたピンバッジは二年生のものだった。
 夏休み、クラブか何かで学校に来ているのだろう。

「あ……っと、友人が告白してるんで、ちょっと様子を……」

 なぜか強張った表情で答えた生徒の方に眼を向けた祐一はきょとんとした表情を浮かべた。
 そして彼らが木の影に隠れて覗いていた方を見るなり、鼻で笑った。
 嘲うかのように鼻で笑った祐一に三人はびくびくしながらも、やがてその視線の先にある場所を気づかれてしまったことにうろたえた。
 別に告白することはいけないことではない。
 祐一が笑ったのは、そう。眼の前にいるのが、双子の妹葉月だったから。




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