詩
□無題
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あなたは昔、私に言ったよね。
「人間は欲の塊で、欲を持たない人間はいない」って。
でも、私は欲っていう欲を全く持っていないんだよね。
あなたはそれを不思議に思い、私を問い質したよね。でも、私に欲は生まれなかった。
なぜだか知ったとき、初めて欲を持てた。
私、クローンだった――
最新技術で、創られた。
頭のいい人やスポーツの出来る人の遺伝子を巧く組み合わせて創ったみたいだけど、やっぱり作り主の人間を上回ることはできなかったみたい。
私は、暗殺人形
自分の正体を知り、自我を持った私を、【お父様】は必要としない。だから、壊される。私が唯一上回れなかったあなたに。
あなたに憧れた。惹かれた。恋い、焦がれた。
あなたに殺される瞬間、初めて私は欲を持った。
『生きたい』
でも、それは叶わぬこと
でも、もし・・・・叶うとしたら、きっと私はもう私ではなくなっているはず。
だって、私はあなたに壊された。
生きていたとしても、それは私ではなくて
創り直された、私・・・・