短編小説

□鬱陶しい雨
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 入学式は―最悪だった。

 俊喜達幼馴染の四人は、莱にある地元で一番マシな高校に入ることに決めた。
 莱には二つ高校があったが、もう一つの方は廃校同然だった。
 フィルターで囲まれているため、外からのわけの分からない攻撃などを防げるというのが売りの、学校。
 俊喜が嫌々世話になっている、理事長の学校。

「「楽しみだねー」」
 
 双子が眼を輝かせながらはしゃぐ。新しいピカピカの制服に身を包み、新しい学校生活に憧れて、入学式に向かう俊喜達。
 俊喜と悟は、既に嫌な予感を感じていた。学校へ行く道すがら何回か見た、同じ制服を着た奴等が、これまた同じ制服の奴を殴り蹴り踏み。殴られている方は繋樹で縛られているようだった。

「おいおい…あんな先輩方がいらっしゃるところなんか?」

 俊喜は悟に突っかかるように聞いた。悟は眉間に皺を寄せて、首を傾げた。
 双子はニコニコしているだけで、全く気にしていない様だった。
 俊喜は溜息をついた。


 あの時、引き返していれば
 あの時、入学式に出なければ

 面倒くさいことも
 鬱陶しいことも

 何もかもしなくて良かっただろうに
 入学式に、出なければ―
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