ブリーチ小説
□バージンロードを歩きましょう
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バージンロードを歩きましょう
「もう、別れる!!」
そんな言葉を残し、花嫁は、バージンロードから、走りさった。
残されたのは、十字架の前に立つ花婿で、走りさった花嫁の後ろ姿を呆然と見つめる。
「くぉら、一護!!ルキアちゃんに、何やったんだ。お前!!」
父親が彼の胸ぐらを掴んで揺すられ、ようやく、意識が戻ったようだ。
「わかんねーよ。俺だって」
「じゃあ、何で、逃げ出したりするんだよ!まさか、お前、結婚するからって、ルキアちゃんに、不埒な真似をしたわけじゃねぇだろうな!」
襟元を絞められ、一護は呻く。
「んなわけねーだろ!第一、まだあいつに、触れたことすら、一度もねぇよ!」
しんと、教会の中が静まりかえる。
降りたのは、痛い程の、沈黙。
一護は、ようやく己が吐いた意味を知る。
「まさか、お前、彼女に何も伝えてねぇのか?」
一護はふいと、顔を反らせば、どこからともなく、溜息が零れ落ちる。
「お前、本当に、ルキアちゃんと結婚する気があるのか?」
一護は反射的に、一心を睨みつけていた。
「ふざけんな。誰が、好きでもねぇ女と、結婚しなきゃなんねぇんだよ」
一心は、今まで締めあげていた息子を解放する。そして、一護の背中を強く押すと扉を指し示す。
「おら、何やってんだよ。この馬鹿息子が。大切なんだったら、ちゃんと護れ。ルキアちゃんを、抱き締めてやれ」
一護を、労るように背中に触れたのは、淡いクリーム色のワンピースを着た、小柄な女性だ。
「一護君、あの子は、自分の思ってることを、口に出すのが、苦手なの。きっと、あの子は、貴方をまってるはずよ」
にっこりと微笑む彼女は、ルキアの姉。歳の離れた姉がいると、彼女がはにかみながら言っていたのを、思い出す。
そして、目の前に差し出されたのは、さっきまで彼女の手のひらにおさまっていた物だ。
「さぁ、いって」
そっと背中を押され、一護は走り出した。
まだ、彼女に言っていないことが、ある。