ブリーチ小説

□約束を明日へ、そして、共に
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約束を明日へ、そして、共に





一護の部屋の前までやってきたルキアは、扉の前で、深呼吸を繰り返す。

何度となく、この部屋を訪れたことがあるのに。いや、すこしの間だったが、共に、生活をしていた部屋だ。変な意味ではなくて、共同生活、という意味で、だ。


(何を、緊張しているのだ!)


心の中で、己を叱咤するが、一向に胸の鼓動は止まない。


何故、こんなにも、緊張しているのかといえば。


こんな風に、正面から訪れるなど、初めてなのだか、仕方ない気もする。



(よし!!)



グッと、拳を握り、決意を新たに、扉に向かう。


コンコン、とノックをしてから、問い掛ける。



「一護?私だ」



いくら待っても、返事は返って来ない。

ルキアは、ゆっくりと中に足を進める。
見慣れた部屋。奥のベッドに、彼はいた。
ルキアはそっと彼のもとに向かう。



ベッドに横になる一護を覗き込めば、小さな寝息が聞こえる。

額に張ってある冷却シートにかかる髪に、そっと触れる。微かに頬が、赤く染まっている。

まだ、熱が引いていないようだ。


いつも寄っている眉間の皺は、今は見えない。


あどけない寝顔に、頬が緩む。
緊張していた心は、いつの間にか消え、あるのは、逢えたことの喜び。

込み上げてくる愛しい想いに、ルキアは微笑んだ。



ふと、揺れた瞼に慌てて手を引っ込めれば、少し潤んだ瞳がルキアをとらえる。


「る、きあ・・・?」




意識が朦朧としている為か、舌足らずな声で呼ばれる。
その姿が、くすぐったくてルキアははにかむ。

一護の手をそっと包み込み、優しく頭を撫でる。



「ほら、まだ寝ていろ。私は、ここにいるから」



にっこりと微笑むルキアに、一護は眉間に皺を刻む。


「わりぃ、今日、約束してたのに・・・。せっかく、久しぶりに、逢えたってのに、こんなザマで・・・」



「謝るな、一護が悪いわけではない」



「でも・・・・」



申し訳ないと謝り続ける一護に、ルキアは苦笑いする。

確かに、楽しみにしていた。せっかく、現世に来れ、大好きな人と逢えることになったのだから。

一護が熱を出し、楽しみにしていた遊園地に行けなくなってしまった。

でも。


「本当に、鈍いのだな。一護は」


「あ?」


怪訝そうに眉を寄せた一護に、軽く触れるだけのキスを送る。



「私はこうして、一護の傍にいられるだけで、嬉しいのだ」



一護の顔が、一瞬のうちに真っ赤に顔を染まる。そして、口を手でおおう。



「お、まえ・・・・、風邪、うつるぞ・・・」



照れて耳まで赤く染める一護に、ルキアはくすくすと笑った。

こんな姿、久しぶりだ。

振り回されるのは、いつも、ルキアの方だから、たまにはいいだろう。



「一護の風邪なら、喜んでうつさせてもらうよ」



にっこりと微笑み、髪を梳けば、一護はふいと顔を背ける。



「勝手にしろ」



聞こえてきた声に、ルキアはもう一度笑った。






END


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
長く放置していた話。

熱を出したルキアさんが、一護さんを口説く、みたいな話。(違うって!!)

リハビリがてら、ちょっと頑張ってみました。甘さが足りないのは、どうぞ、ご勘弁下さいませ。

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