ブリーチ小説

□正直者になりましょう
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正直者になりましょう

※「雨上がりの夏の気配」での、黒崎家の様子です。




「あ〜!!もう、ウザイんだけど!!イチ兄」

遊子の熱の具合を診ていた一心は、ビクッ、と身体を震わせ、声の主を慌てて見る。

「か、夏梨、お父さんびっくりして、聴診器落としちゃうところだったぞぉ!」

ガバッ、と立ち上がり、ウインク☆してみせる。

「黙れ、ヒゲ!!いい年こいて、落としちゃうとか、言うな!!気色悪い!!」

夏梨が飛び蹴りをくらわすと、一心はばったりと床に倒れこんだ。

しくしく、と聞こえてくるすすり泣きにベッドの中にいた遊子が、慰めの言葉を掛ける。

「大丈夫?お父さん」

えぐえぐと泣き続ける一心の頭を、よしよしと遊子が撫でる。

「遊子、ほっといて、寝な。熱、下がんないよ」

苦笑いしながら、布団をかぶり直した遊子の傍で、一護は所在無さげに立ち尽くしていた。
と、言うよりも、どうするべきが悩んでいる、と言ったほうが正しいかもしれない。

「あー!もー!そんなに、気になるんだったら、さっさと行けば!!」

今日は機嫌が悪いのか、それとも、損ねたのか。
どちらにしても、ここは、穏便にすますべきだろう。と、一護は心の中で頷く。なにせ、ここには、病人がいるのだし。

「別に、なんもねーよ。それよりも、夏梨、遊子が寝れねぇだろ。だから」

と一護は続きを飲み込んだ。

ぎりっ、と夏梨が睨みをきかせる。その姿は、そんじょそこらの不良も、かなわないのではないか?

いやいや。問題はそこではなくて。

一護は、額に汗を掻きはじめていた。

「か、夏梨?」

遊子のそばにいた一心まで、顔を青くして夏梨を呼ぶ。

「ウザイ、て言ったの、聞こえなかった?イチ兄」

ダラダラと流れてくるこれは、冷や汗か?

一護はごくりと唾を飲み込んだ。


「駄目だよ、夏梨ちゃん」

やんわりと。でも、はっきりと遮ったのは、遊子だ。
般若の如く怒っていた夏梨が、言葉を止める。

「ね、お兄ちゃん。約束してるんでしょ?お姉ちゃんと」

「え?」

「私が、風邪ひいちゃったから、会いにいけないんでしょ?」

「んなわけねーだろ。変な心配してねぇで、ほら、早く寝ろって」

半ば強引に、布団を遊子にかける。

確かに、約束はある。でも、遊子を放ったまま、行けるわけがない。

今回は、諦めようと携帯を握りしめたときだった。

「違うの」

布団から、赤い顔を少しだけ出し、遊子が言う。

「私が、お兄ちゃんに、お姉ちゃんの所に行ってほしいの。きっと、お姉ちゃん、お兄ちゃんがこなくて、淋しがってる」

一護はびっくりして、まじまじと遊子を見つめる。

「遊子がそう言ってんだから、早く行きなよ。イチ兄。ルキ姉、待ってるよ」

ここまで、言われたなら。
仕方ない、と溜息をついて、扉に向かう。


「悪い。少しだけ、外、出てくる」



バタバタと、階段を下りる音がして、そして、騒がしい音が遠退く。

遊子と夏梨は、顔を見合せ、安堵の息を吐く。

「まったく、世話の焼ける兄貴だな」

しみじみと呟く一心に、二人はその通りだと笑う。

「イチ兄には、ルキ姉がいないとね。あーあ、いつになったら、お嫁に来てくれんだろ」

「そしたら、ずっと一緒にいられるよね?お姉ちゃんと」

クスクスと笑う二人の声は、彼らには、まだ届かない。





END



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ギャグ(笑)です。
夏梨ちゃんは、恐らく、黒崎家で一番恐い。その上をいくのが、遊子ちゃん。にっこり笑いながら、有無を言わせない。凄い、双子です。

一護さんは、今から、尻にひかれてます(笑)

遊子ちゃんも夏梨ちゃんも、ルキアさんが大好きなのです。

ちょっとした小話でした。

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