ブリーチ小説
□夢の面影
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夢の面影
「は〜い、今日はここまで。宿題、ちゃんとやってこいよ〜」
チャイムがなり、担任の声がして、一護はようやく目を覚ました。
(ああ、もう終わりか・・)
肩に腕を回し、背もたれに体重をのせ、伸びをする。
ふう、と息を吐くと後ろから、手が伸びてきた。反射てきに、拳を繰り出していた。
後ろで、ぐぇ、とカエルの潰れたような声がしたが、あえて無視を決め込む。
今は、相手をする気になんてならないと、一護はひとりごちるが、それがいつもの事だとは気づかない。
「浅野さん、変な所で寝ないで下さいね」
水色がひょっこりと顔を覗かせ、床に倒れこんでいるケイゴに言う。
「ばかやろう!寝てるわけないだろ」
「はいはい、分かりました。浅野さん」
「敬語は、嫌〜〜!!!」
絡むケイゴをあしらい、水色が携帯を弄っている。
それを眺めながら、一護は窓の外。遠く、伸びる青空を見つめる。
「一護、どうかした?」
一護の様子に気付いた水色が、問いかける。
「いや、何でもない。わりぃ、水色、先に屋上、行っててくれるか?」
じっと、視線を感じたが、水色は何も言わず。
「うん、分かった。先、行ってるよ。ほら、浅野さん、行きますよ」
ぎゃあぎゃあと騒ぐケイゴを引きずり、水色が歩き出した。
〜
喧騒が遠退き、人気の無くなった教室で、一護は息を吐いた。
まだ、胸の疼きは、止まない。
ルキアが帰ってから、時折、一護の胸の奥が騒めきだす。
雨の中、立ち尽くす、彼女の細い背。
許さないと、雨に濡れた泣き顔が脳裏から離れない。
浦原との修行は、まだ、始まったばかりだ。
もっと、強く。強くならなければ、いけない。
もう、彼女を泣かせたくない。
彼女を救いたいと思う。
だから。
「よし、行くか」
立ち止まってなど、いられない。
一護は、前を向き、歩き始めた。
END
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
白夜さんと恋次さんに、ルキアさんが連れ去られた後。
浦原さんとの修行中。その頃の、学校での一幕です。
一護さんはまだ、自分の気持ちに気付いていません。
さて、気付くのは、いつでしょう。
悠木は、この戸魂界前後では、本編を読んだことがなく、アニメオンリーでした。なので、一護さんとルキアさんはできてるのだと、勝手に思い込んでおりました(笑)懐かしいなぁ