ブリーチ小説
□想いの証
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想いの証
「次、黒崎〜」
現国の担当である、担任の越智に指名され、一護は黒板に向かった。
チョークを手に持ち、問題に望んだときだった。視線を感じて、顔をあげると、真剣な顔をした担任とぶつかった。
「あの、越智さん?」
「あんた」
がっしり左腕を持ち上げられ、反対方向に捻られる。ぐぇ、と潰れた声が上がる。
「ゆ、指輪!!」
立ち上がり、叫んだのは、幼なじみの有沢たつきだ。
「へ?」
一護は間抜け顔で、立ちつくした。
「あんた!いつから、彼女がいたのよ!!」
たつきが叫んだ。
「おお、黒崎!ようやく、春が来たか〜!」
ようやく、状況が飲み込めた一護は、顔を真っ赤にして叫んだ。
「別にいいだろ!関係ねーだろ!!」
「お〜、可愛いね〜。照れるな、照れるな。で、どこまでいってるんだ?」
真面目な顔して問い掛ける担任の肩が、揺れているのに気づいた。周りを見渡せば、皆、興味津々といった顔で、一護を見ている。
「どうでもいいだろ!!てか、授業中だろ!?授業中断してんじゃねー!!」
教室に一護の叫びが響き渡った。
〜〜〜
その頃、戸魂界ではこんな噂が流れていた。
「ねぇ、知ってる?朽木さんて、指輪持ってるんだって!」
楽しげに話すのは、五番隊副隊長の雛森桃だ。その両脇を並んで歩くのは、三番隊長副隊長の吉良イヅル、六番隊副隊長の阿散井恋次である。
その言葉に恋次は、身体を揺らした。しかし、二人は話に夢中なのか気付かない。
「ああ、それなら、僕も知ってるよ。確か、一護君にもらったって」
「本当か!?」
瞬間、イヅルの肩を掴み、恋次が叫ぶ。
「い、痛いよ。阿散井君!噂だって、噂!」
隣で雛森が「阿散井君駄目だよ!」と、恋次を諌めているが、恋次の耳には全く入っていない。
(本当なのかよ、ルキア!!)
〜〜〜
一護と恋次が、叫んでいる頃、十三番隊隊舎の詰所にルキアはいた。
「はっくしゅん!」
「大丈夫、朽木さん?」
心配そうに覗き込んだのは、三席の虎徹清音だ。
ルキアは、「大丈夫です」と笑って答えると立ち上がった。
「では、こちらの資料は片付けますね」
「有難〜ね。本当、助かったわ。それが済んだら、上がっていいわよ」
「はい、お疲れさまでした」
〜〜
資料室の所定の位置に納め終え、誰もいないのを確認するとルキアは、胸元に手を伸ばした。
出てきたのは、チェーンに繋がれた指輪。
ルキアは顔を綻ばすと、指輪にそっと口付けた。
「逢いたい、な」
胸をよぎるのは、温かい、太陽と同じ髪をもつ少年。
「何をしているのだろうな、一護は」
呟いた言葉は、溶けてしまいそうに甘い。
下界にいる少年に想いを馳せ、ルキアはもう一度指輪に唇を寄せた。
END
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恥ずかしいです(笑)本当に。今から、3〜4年前の物。携帯に入っていた物を消してしまったので、思い出しながら書いた代物です。
一護さんとルキアさんは、ちゃんと両想いです。恋次さんが不憫ですが、彼はうちのサイトではこんな感じです(笑)ごめんなさい!恋次くん。
ルキアの指輪ですが、仕事で刀握る時、邪魔では?と疑問に思ったので、こんな形になりました。