Novel
□第2話
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「…崇珀(すうはく)様…」
少年の後ろにいた女が、おそらく少年のものであろう名前を口にする。
その声は少年の身を案じるかのようであった。
少年は少し女の方に顔を向け、大丈夫だと目で語る。
だが女はそれでも少年を心配し、男を少し威嚇するかのように睨みつける。
その視線に気付いた男は、ふっと笑みを浮かべた。
「なるほど、女聖(にょせい)がいるのか」
「にょせい?」
「我らの中には一族を守るために特別強い力を与えられる者が生まれる。しかしその力は強すぎるため、支えてくれる存在も同時に生まれる。それが女聖だ」
「…よくわからない」
「ゆっくり覚えていってくれればいい」
眉をしかめる少年の頭を、男はそっと撫でた。
少年はくすぐったそうに首をすくめた。