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□たまゆら
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いつだったでしょうか
「あなたの視界は色が違う?」
そう聞かれて首を振ったのは。



僕の右眼を刳り貫いて填め込まれた赤い瞳。
不思議な程暖かいそれは、まるで最初から僕の物だったかのように馴染んだ。
誰のものとも知れない眼。
何もわからないまま入れられて、全てを知った。



また巡って辿り着いた、この世界。




何を求めて僕は巡り続ける。
自問自答を繰り返しても答えは出る筈も無く。
ただ解るのは、この世界はやはり予想通りの世界だと言う事。
汚くて痛くて、欲にまみれている。

何故また僕はここに来たのか。









どうして、僕なんかの名前を、お前達は嬉しそうに呼ぶんでしょうね。

どうして、僕なんかの存在を、お前達は望むんでしょうね。









再び来てしまったこの道。
一つだけ思い出した事があります。

ずっと昔、思い出せないほど昔の事。

同じように、こんなに暖かいものを感じた気がするのです。
僕の名前を呼び、僕の背を見つめる人の存在を。





また、守るために

僕は永い間巡っていたのかもしれない。



君が 君達が

もう消えてしまわないように

僕が もう一人にならないように



このぬくもりを 守りたかったのかもしれない。










「骸様、会議が始まります」


わかっていますよ。
遅れていくと、あの若いドン・ボンゴレが困ってしまいますからね。

さて、そろそろ行きましょうか。



end.

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