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□特に異常ありません
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6月3日 快晴

今日も白蘭さんは部屋から出てこなかった。
もう四日も食事を摂っていない事になる。
白蘭さんの部屋だけは本人の静脈と眼球の認証が必要なため他の者は入れない。
声をかけても何も聞こえない。



6月4日 曇り

今日も白蘭さんは出てこなかった。
時折微かに笑い声が聞こえたそうだ。
仕事もいっぱい溜まり始めてきた。もう僕だけじゃ捌ききれない。
辛いのはわかるが、そろそろ仕事に復帰してほしい。
けれどもそれを伝えるのは、僕には出来ない。



6月5日 曇り

白蘭さんとパソコン経由で連絡がとれた。
メールのため、いつもの飄々とした声は確認できなかった。
白蘭さんは沢山のタオルと熱いお湯。あと新しい服が欲しいと言ってきた。
全てメーカー指定だった。
すぐにチェルベッロの二人が揃えてくれた。
部屋の前にカートごと置いた。
白蘭さんが部屋から出てきた。監視カメラに向かってアリガトウと笑った。
僕は少し泣きそうになった。
線の細い白蘭さんが、ますます、細かった。



6月6日 雨のち曇り

白蘭さんからメール。
チョコレートが欲しいと言ってきた。すぐに用意した。
今度は僕が持っていった。暫くして部屋のドアが開いた。
白蘭さんは「正チャン、これあげるよ」と何かを僕に渡した。
ハンカチで包まれた小さなものだった。ドアはすぐに閉まった。
中には白蘭さんのリングがあった。ボロボロだった。





6月7日 雨

今日は白蘭さんからの連絡はなかった。




 
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