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□不思議の国のザンザコ
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よく晴れ渡った空。ぷかぷか浮かぶ白い雲。
心地よい風が木々を揺らす。木漏れ日の下、母親の優しい声が聞こえる。

「・・そうしてマーモンは、見事闇金融から多額の慰謝料を騙し取ることが出来たのでした。めでたしめでたし」
「フェイク」
「だめよザンザコちゃん。せっかくベルちゃんがくれた新しい絵本、燃やしちゃダーメ」

ザンザコは不機嫌だった。
母親の甘ったるい声を聞きながら、手のひらに死ぬ気の炎を溜める。母親はサングラスをくいっと持ち上げてウフンと身をくねらせていた。

全く面白いことなんてない。ザンザコはふんと鼻をならす。
母親が二冊目の絵本を取り出した。『レヴィ〜愛のしるし〜』題名からして期待できない。ザンザコは益々不機嫌になった。

何か面白い事は起きねえのか。
その時だった。一筋の風がザンザコのフリフリエプロンドレスのスカートをめくっていく。母親が「いやんエッチな風ねぇ」と髪型を整えていた時だった。

「う゛お゛ぉぉい!この時計壊れてんじゃねーか!!」

酷くあせった声。目の前を通り去っていく銀色の髪。
ザンザコは呆然と見送った。
長い長い銀色の髪を風になびかせながら走り去っていく一人のうさぎ。
銀色のうさぎはばたばたと走っていく。ザンザコは立ち上がった。

「あらぁん?どこ行くのザンザコちゃん」
「うるせぇ」
「おやつの時間には戻ってくるのよー」

うさぎは奥の庭へと走っていった。追いかけるザンザコ。

「刀小僧め、三枚におろしてやるぜぇ!」

憎憎しげにうさぎが吠える。
うさぎはどんどん奥へと走っていった。ザンザコは疑問に思った。ここの庭はそんなに大きくないはずなのに、まるで迷路のように長く広いのだ。
エプロンドレスの裾を持ち上げて走るザンザコ。
うさぎは井戸へと入っていった。ザンザコの家に井戸はない。
立ち止まり中をのぞく。深く暗い井戸の中。「う゛お゛ぉぉい・・・・」井戸の中からうさぎの声が聞こえる。
ザンザコは意を決した。ひらり、スカートが舞う。

井戸の中に飛び込んだザンザコ。声だけ聞こえるうさぎ。
果たしてザンザコを待ち受けるのは何なのか!うさぎの正体は?そしてモスカに出番はあるのか!
待て次週!←


 
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