暁ナル

□わんダフルデイズ
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【デイダラ&サソリ、子犬を助ける】


「はぁ〜、今日の任務もキツかったなぁ、うん」

「お前は何もしてねぇだろ」

「何言ってんだよ!オイラの活躍があったからこそ成功したんじゃねぇか」

「自爆してたじゃねぇか」

「うっ!あれはあの、その…アレだよ」

「意味解んねぇよ」

――クゥン

「「…?」」

――クゥン

「何だ?」

「…」

――キャンッキャンッ

「旦」

「うるせぇ。静かにしろ」

声の主を探す様に辺りを見回すサソリ。

「…」

見つけたのか、ピタリと立ち止まる。

つられてデイダラもそちらへ視線を辿らせれば。

――クゥン。キャンッキャンッ

「あぁーっ!旦那!ワンコだ!」

「いちいちうるせぇ。見りゃ解る」

少し離れた先に、茶色く薄汚れた子犬が。

子供みたいにはしゃいで、子犬に駆け寄るデイダラはまた声を上げた。

「コイツ目ぇ青、ああーっ!旦那ー!大変だ!」

「ああ?」

「可哀想に!今取ってやるからな!」

「…?」

「ぎいい!」

しゃがみ込んで、おまけに変な声まで出して何やってんだ。
サソリは面倒くさそうに向かった。


「ぅおらああ!」

ガシャンッ

「おい、何やって」

「大丈夫か?痛かったろ」

――クゥン

「…罠に挟まったのか」

デイダラは、誰かが狩り用に仕掛けた金属の罠を外すのに踏ん張っていた様だ。

子犬はその罠に引っ掛かったらしく、足にはバックリと痛々しい後が。

「手当てしねぇと膿んじまうな」

「旦那なんかもってるか、うん?」

何かとは、救急キット的な物の事だろう。

「…俺は傀儡だ。んなもん持ち歩かねぇ」

「…」

「クゥン」

弱々しく鳴く子犬。

「血止めねぇと、」

何か無いかと懐をまさぐるデイダラ。

その間、デイダラの腕の中にいる子犬は何故かウルウルと青い瞳でサソリを見つめる。

「クゥ」

「…、」

(…何かコイツ…)

目が逸らせないのは、サソリが隠れ犬ファンだからか。

それとも…

その青い瞳が想い人を連想させるからか。

「ナル」

「え?」

「…っ、」

知らず口に出ていたのか、慌ててサソリはそれを隠すように子犬を奪う。

そして、血が止まる様にとそっと袖で傷口を押さえた。

「ちょ、旦那」

「うるせぇ!コイツ連れて帰る!」

ずかずかと進むサソリを追い掛けるデイダラ。


「どうせてめぇも何も持ってねぇんだろ」

「あ、うん…」

呆気に取られて言葉を無くす。

だって。

(サソリの旦那、顔が赤い)

「ぶっ!」

デイダラは吹き出した。

「てめぇ…」

「ワンコ好きなのか?傀儡でも赤くなんだな、うん?」

「うるせぇ!」

「解るぜー。コイツ目青いし。なんか似てるよな、うん?」

「てめぇ…」

「…渡さねぇよ、」

それは、子犬の事なのか。

はたまた、

想い人の事なのか。

(…コイツ…)

デイダラもサソリと同じでナルトに想いを寄せる一人。
ニヤニヤした顔でサソリを見やる。

どうやら先程思わず出てしまった言葉が聞こえていたらしい。

「ナルトは誰のモンでもねぇ!」

「オイラ、ナルトなんて一言も言ってねぇぜ、旦那」

「〜っ!クソ粘土オタク!黙って歩け!」


乱暴に返すサソリだが、その腕には優しく抱かれた子犬。


後にこの子犬は暁の一員となる。


「傀儡のおじさん怖いですねぇ、ナルト?」

「るせぇ!いつからナルトになったんだよ!」

「良いじゃん。旦那だって思ってんだろ、なあ?ナルト」

「ァン」

「お前も返事すんな!」


END

2010.4.24
 

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