暁ナル
□秘密の日記
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ある日、小南は暁のアジトの地下室であるものを見付けた。
それは真新しいノート。
引っ張り出して見れば、何冊も有る。
「何コレ?」
一冊手に取って見てみると表紙の所に『日記』と書かれている。
更に名前を書く欄には『ペイン』と書かれている。
「日記書いてるのかしら、ペインって。」
首を傾げ、他のノートに目を向ければ。
イタチ、デイダラ、飛段、サソリ、ゼツ、鬼鮫の名が。
「皆して日記?」
任務の事でも書いてあるのか。
それとも、他に違う事が書いてあるのか。
小南は、見てはいけないと思いつつ、好奇心から一冊のノートを開いてみた。
「バレなきゃ平気よね。これはゼツのね。んー、何々…。」
そこには、こう書かれていた。
『 〇月×日、晴れ
今日ナルトの家に行ったら、植木鉢と間違えられて水をかけられた。
俺は植木鉢じゃない。少しショックだ。』
「…ぷ!何コレ!」
小南は吹き出した。
「植木鉢って!これってゼツの事じゃない!あははは!」
流石ナルト君、天然だわぁ!
と涙を拭って次の頁へ。
『 ○月×日 曇り
今日ナルトの家に行ったら、ゼツってクワガタみたいだってばねって言われた。俺は
虫じゃない。またショックを受けた。』
「ダハハハ!イヤだ、クワガタ!可笑しいったらないわ!」
笑い過ぎてお腹が痛い、と腹を擦りながら他のノートを手にする。
「あー、涙が止まらないわ。あ、これは飛段ね。」
飛段の事だから怖いとか何とか書いて有るんじゃないかしら。
そんな事を思い、ノートを開くと。
『 ○月×日 ハレ
みんなに隠してかくずと一緒にナルトにあいに行った。
久しぶりにあったってのに、ナルトはおれを見てひめいを上げてにげた。
しょーがねぇだろまだ首なおしてねーんだから。
かくずはバカだろとおれをさめた目でわらってた。
ムカつくやろーだ。なんだかんだいってアイツもナルトをねらってやがる。おれはナルトにきらわれたら生きていけねー。ぜんぶかくずのせいだ。』
パタン、とノートを閉じて。
ふ、と声を洩らすと小南はまた爆笑した。
「あはは、本当にバカねぇ!ヒィ、何あれ!殆ど平仮名じゃない!ナルト君に嫌われたら生きていけないってどんだけよ!それにしても汚い字ねぇ!」
だんだん、と壁を叩き、笑いが止まらない小南。
ヒーヒー言いながら、続いて次のノートを手に取った。
『 ○月×日 雨
ナルト君に
会いに行った。ナルト君は相変わらず可愛かった。だがこの日ナルト君は俺を見て臭いと言った。何故だと自分の服を嗅いだら磯臭かった。
鮫の所為だ。バカなリーダーが鮫と組ませるから臭いが移ったんだ。
ナルト君に嫌われたら全部鮫の所為だ。腹が立つから今日は鮫を苛めてやる。』
「これはイタチね、磯臭い!ぶっ!確かに!ナルト君も顔に似合わず酷な事言うわねぇ!っはははは!」
もう駄目だわ、今日一日で腹筋がつきそうよ。
と、それくらい小南は狂ったように笑っていた。
更に次のノート。
『 ○月×日 曇り
今日もイタチの野郎に殴られた。理由は決まってる。私が臭いからだって言うんだ。そんな事で私を痛めつけるなんて…。クソリーダーも、おんぼろ人形も、爆弾男も。厚化粧女まで!何かあると皆私を苛めるんだ。誰が飯食わせてやってると思ってんだ!本当に許せない奴等だ!ふん。今日は飯なんか作りませんよ!自分達でやれば良いんだ!ふん、私は今日はナルト君の所でご飯ですからね。ザマーミロってんですよ!』
鬼鮫の日記を読んで、小南は震えた。
笑いからではない。そんなもの一気にぶっ飛んだ。
この震えは怒りからだ。
「鬼鮫の奴ー!厚化粧
女ですって!?何を!ただじゃ済まないわ!」
読んだノートを乱暴に置くと、小南は鬼鮫の所へ向かおうとした。
が、はたと気付き踵を返してまたノートを開いた。
乱暴に一冊一冊、一枚一枚、ある場所を集中して目を光らせ。
「この日も。この日も、この日もこの日も!」
バシッ、とノートを叩き付けた。
「こいつらの日記、全部任務の日じゃない!仕事しないでナルト君に会いに行ってたのねっ!!」
一体毎日何してるのよ!
お冠の小南は説教してやると、皆の元へ向かおうとした。
のだが、再び足を止める。
(私が言ったら日記の事バレてしまうわ…。)
小南は、どうしたものかと腕組をして考えた。
しかし考えるも。
浮かぶのは、任務を放棄したペイン達や、愚痴を並べる鬼鮫に対する怒りだけ。
だが、知ってしまった今、本人達に言う訳にはいかない。
読んだ事がバレてしまうのだから。
墓穴を掘る事になる。
「…もう!」
呟き、一度足踏みすると、小南はノートが置いてある場所に戻った。
そして、新しいノートは無いかと探し回り、見付けると自分もそこに書き綴るのだ。
皆に対する不満を。
END
2010.1.19