暁ナル

□続・鮫の涙
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ふふふ〜ん、と鼻歌を歌いながら、米を研ぐ鬼鮫。

その少し離れた場所から、鬼鮫を見ていた者達は。




「おい。最近鮫の様子が可笑しくないか?」

目を細めて、鬼鮫に視線を則すイタチ。

「オイラもそう思う。うん。」

頷くデイダラ。

「機嫌が良いな。」

イライラしたように答えるサソリ。

「いつもはイジイジしてるよなー?」

面倒くさそうに片肘を付く飛段。

「金でも儲けたか。」

と、金を数える角都。

「サイキンガイシュツモオオイ。」「無断外泊も多いね。」

自分で言って、自分で答えるゼツ。

「良い事でも有ったんですかねー?」

のんきに頭を掻くトビ。

「家事や買い物も進んでやっているな。」

腕を組んで鬼鮫を見るペイン。

「恋かしら。」

マニキュアを塗りながらぽつりと呟く小南。

恋!?と小南の発言に誰もが振り返る。

「まさか!あの鮫がか!?」

「相手は誰だ、うん!?」

「あんな鮫を好きになる奴がいんのか。」

「人は見かけによらずですよ、サソリさん!」

「ゲハハハ!あり得ねぇよ!」

「やはり金でも儲けたか。」

「お前の頭にはそれしかないのか。」

「デモオカシイ。」「そ
うだね。」

「やっぱり恋かしら。」

シーン、と沈黙する一同。

「気になる。」

「確かめるしかないな、うん。」

「おい、デイダラ、さりげなく聞いてこい。」

「え!?オイラがかよ?」

「ゲハハハ!行って来いよ、デイダラちゃ〜ん!」

飛段の、ちゃん付けに腹をたてるも、一応自分も気になるデイダラ。

大人しく鬼鮫の元に向かった。





「おい、鬼鮫の旦那、うん。」

米を炊き、夕食の準備にかかる鬼鮫にデイダラはゴクリと喉を鳴らして。

「どうしました?」

「あ〜、いや。その〜。うん、」

曖昧に答えるデイダラに、首を傾げる鬼鮫。

「何かありました?」

「いや、うん。あ〜、ズバリ聞くぞ。」

「はい?」

何だろう、と思いながら野菜を切る鬼鮫。

「お前…、」

と、そこでデイダラはある異変に気付いた。

そして、顔をしかめる。

(何だ…?)

くんくんと近付き鬼鮫の臭いを嗅ぐ。

(…余り磯の臭いがしないぞ、うん?)

「ちょ、どうしたんですか?」

普段なら近寄りもしないデイダラが、傍に寄り臭いを嗅いでくる。

何なんだ、と後ずさる鬼鮫。

だが、一向に止めようとしないデイダラ。

そして、デイダラは気付いた。

(この匂い!!)





一方、鬼鮫について語る暁一同。

「デイダラは何やってんだ?」

「遅いな。」

「ナニヲテコズッテイル。」「聞きにくいのかな。」

「恋バナなら聞きにくいわよ。」

「ふん、鮫ごときが。」

「本当に遅いですねー、デイダラ先輩。」

そんな事を話してるや否や。





「てんめえぇぇー!!!」

ガッシャァァァン!!

と、台所から怒声と共に、食器の割れる音がした。




「何だ!?」

「喧嘩か!?」

「何事だ?」

「デイダラ先輩ー!どうしたんですかー?」

「ナンダ?」「どうしたのかな。」

「おい、デイダラ、何やってんだ!?」




「何でてめぇからこの匂いがするんだ、うん!?」

台所から出てきた二人。

鬼鮫はドサッ、と床に倒れ、その上に馬乗りになるデイダラ。

鬼鮫の胸ぐらを掴んで尋問する。

「やめ、止めて下さいっ、」

「答えろー!!」

尋常じゃないデイダラの剣幕に、驚く一同。

「どうした!?」

「何だ!?」

サソリとイタチが急かすように言うと、デイダラはこう放った。










「こいつからナルトの匂いがするんだあぁぁ!!!」



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