暁ナル

□愉快な仲間達
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暗い廊下を走り抜ける。

何度転んだか解らない。

追ってくる恐怖に汗が止まらない。

兎に角逃げなくては。

何処かに隠れなくては。

後ろを振り向かず、ただただ全力失踪で走りまくる。

そして辿り着いた旧校舎。

一番奥のトイレに飛び込んだ。

震える手で鍵を閉めて。

しゃがみこんで頭を抱えた。

どうして自分がこんな目に。

――キイィ…。

はっとする。

誰かがトイレに入ってきた。

ヤツだ。

ヤツが来たんだ。

心臓が爆発しそうだ。

手で口を隠して、息を殺すが心臓の音が聞こえてしまいそうだ。

――キイィ、バタン。

ヤツが探してるんだ。

――キイィ、バタン。

一つ、また一つと扉を開けては閉め、また次の扉へと繰り返してる。

あと二つだ。

あと二つで自分のいる場所に。

怖くて、怖くて耳を塞ぐが、扉を開ける音は耳について離れない。

――キイィ、バタン。

遂に来てしまった。

次だ。

次に自分のいる扉が開かれてしまう。

震えが止まらない。

恐怖で涙も止まらない。

どうしたらいいのだ。

絶体絶命だ。

誰か、

誰か助けて。


だが、数分待っても扉は開かれない。

もし
かしたら、ヤツは何処かに行ったのか。

もしかしたら、自分は助かったのか。

そうだ、ヤツは何処かに行ったんだ。

震える手を耳元から離し、安堵の息をつく。

ガクガク震える足に力をいれ、外に出ようと立ち上がる。

そして、鍵を開けようと顔を上げた瞬間。






「ナルト、うん。」

ギャアアァァァ!!!

「ギャアアァァァ!!!」

テレビの中の主人公と共に叫んだナルトは言葉通り飛び上がった。



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