暁ナル
□痛みの共有
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※グロ注意
観覧は自己責任でお願い致します。
「「あ゛あああああっ!!」」
重なる二つの悲痛による絶叫。
「ぅぁ…っ、」
余りの激痛に頭を掻き抱える。
血で書いた変なマークの上に寝かされた俺の腹に跨がり、俺と同じ様に胸から血を流す黒い骸骨みたいな顔の飛段。
激痛に顔を歪め、俺を刺したそいつを見上げれば、同じく痛みを感じている筈なのに、飛段は笑みを浮かべていた。
「…サイコー」
「ふ、ざけんな、ってばっ…」
掠れる声で毒づけば、口角を上げ俺の頬を撫でる飛段。
「はぁ、サイコーじゃねーか」
「っ、どこがっ!」
このイカれ野郎!
痛くて仕方ねぇよ!
見ろよ、すげぇ勢いで血が出てるじゃねぇか!
「はぁ、キモチーな。お前と痛みを共有出来るなんて、俺死んでもいー」
言って、飛段は自分の胸に刺さってる刃物を引き抜いた。
「ぅ、あああっ!!」
「…くっ、」
途端に、痛みが増し、二人の胸から更に血が溢れ出す。
「はははっ!次はどこにする?首か?腹か?」
「冗談じゃ、ねぇ…っ」
頬から手を離すと、今度は俺の傷口に手を這わせ、そのまま血塗れになったそれを自分の口元へ運ぶ。
「あめーな、ナルトの血は。良い匂い」
興奮する。
呟き、血に濡れた口で唇を奪われた。
「…んむっ…」
どこが甘いんだよ。
自分の血なんか舐めたって美味くねぇよ。
て言うか、痛ぇよマジで。
「はは、見ろよ」
唇を離すと、今度は隙間なく自分の胸と俺の胸を合わす飛段。
ぐっ、と押され傷口が痛む。
「こうすっと、お前の血と俺の血が混じって、一体になったみてーだ」
「…っ、」
「まあ、お前の血舐めた時点で一体化してんだけどよ。あーヤベー。勃った」
耳元で喋られ、ゾクリと身体が震える。
ヤバいのはお前の頭だよ。
それに、下半身押し付けんな。
「…んの、変態…っ」
「悪ぃかよ?」
悪ぃに決まってるっ。
ニヤニヤすんなっ。
「…、」
チクショー…。
目眩がする。何か身体が震えてるし。
呼吸も荒いし、心臓もばくばく言ってる。
それに寒ぃ。
このまま死ぬのか?と思うけど、
もう傷が塞がりかけてる俺の身体には九尾がいるからそれは無いだろう。
飛段も急所を外してるし。
まあ、外さなくたって、飛段は死にやしない。
こいつは不死身だからな。
…多分、俺も死なねぇだろう。
すぐには。
けど、痛ぇもんは痛ぇ。
死ななくたって、痛ぇんだよ。
この痛みが好きな飛段と違って。
出血だって結構酷い。頭の中が変な感覚だ。
「…ち、っ…」
舌打ちしても、遠退いて行く意識を自分で止められる筈もなく。
「おー?ナルト、寝んのか?ダメだろ、起きて」
ゆさゆさと揺さぶられるも、俺の意識はもう半分闇の中へ。
「ナルトー、起きろよ。俺ともっと愛し合おうぜー?」
遠くに聞こえる飛段の声に、
取り合えず、
お前の性癖なんとかしろ、と言う反論は、遠退いて行く意識と共に失われた。
(起きたらぶん殴ってやる)
END
飛段の術の名前が解らなくて、変な表現になってしまった…
あれは何て術だっけか…
2010.7.3