サスナル

□一番の被害者
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ある男は、ある映画を見て思い付いた。

そして得意の鼻笑いをすると、部屋を飛び出した。



「おい!カマ野郎にヤブ医者!俺はナルトに会いに行って来るぜ!!」

「…は?」

「……。」

言うなり、悲劇の末裔は姿を消した。

「…急にどうしちゃったの?」

「…さぁ?頭でもおかしくなったんですよ。」

カマ野郎、ヤブ医者と言われた二人は少年が消え去った場所を無言で見つめた。









「助けてえぇぇーっ!!」

この日、うずまきナルトの1日はこの絶叫で始まった。

絶叫の後、パジャマ姿で部屋を飛び出したナルトは、今里を全力疾走で走り抜けていた。

その理由は。

「待てよぉ、このウスラトンカチめ!」

後ろから、これまた全力疾走で追いかける抜け忍うちはサスケにあった。

「つ、着いて来んなってばよーっ!!」



今朝、何かに頬を撫でられた気がして目を覚ましたナルト。

寝ぼけ眼で目を開くとそこには居る筈の無いサスケが。

言うまでも無いが一瞬で眠気はぶっ飛んだ。


愛しそうにナルトの頬を撫で、何をしようとしているのか、サスケは頬を赤く染めてこう言った。

「おはようハニー。眠り姫のお前に愛す
る俺から目覚めのキスをくれてやる。しかしそれで終わらせてやれるか…。何せホラ、見てみろ。お前の寝顔見てたら勃っちまってよ。」

どうしようもねぇな、そう言うなりテントの張った自分の股間に視線を向け、ニヤリと笑うと唇を尖らせ近付いて来た。

が、その瞬間、ナルトは悲鳴を上げ、思いっきり頭突きをかましてやった。

「ってぇ!」

もろに喰らって踞っているサスケを横切って、ナルトは逃げ出した。




顔を青くして、走りながら後ろを振り向けば。

「ははは!このウスラトンカチめ!朝から追いかけっこか!よぉし待ってろ!今捕まえてやるからなぁ!!」

額にたんこぶを作り、ナルトとは反対に顔を赤くし、(何故か写輪眼発動中)鼻息荒く気持ちの悪い笑顔で迫ってくる変態一名。

「ひいぃぃっ!!」

「大人しく捕まれナルトォ!こう言う追いかけっこは浜辺でやるもんだろうがぁ!」

「何意味解んねぇ事言ってんだよ!てめぇ一人でやってろってば!」

「このツンデレが!俺には解る!照れるなナルトォ!」

「誰が照れるか!」

ナルトは考えた。

どうすればサスケを撒けるのか。

焦りに回らない頭でやっと考え付いたのは、自分が最も得意と
する影分身。


(これしかねぇってばっ!)


写輪眼を持つサスケには、すぐに見つかってしまうだろうが、多少逃げるのに時間稼ぎが出来る筈。

その間に、誰かに匿ってもらおう。

うん、と一人頷くとナルトは印を組んだ。



つもりだったのだが。


後ろに気をとられていた所為で、前を向いた瞬間、ヤバいと思うや否や、思い切り電信柱に激突してしまった。

「でぇっ!!」

ゴチンッ!と音がして星が飛んだ。

「うぁ…、」

意識が薄れていく中、ナルトは自分を恥じた。

(本当に俺ってば忍なの…、)


「ナルトォォー!!」


その後ろで、青ざめた様子で此方に向かって来るサスケに、あぁー、駄目だ捕まる、こっち来るな、と思うのだがナルトは痛みに堪えられず、そのまま気を失ってしまった。



「うおぉぉ!!ハニィィー!!大丈夫かぁぁ!!」

一方、倒れる寸前に見事ナルトをキャッチする事に成功したサスケ。

「何て事だっ!おいナルト!しっかりしろぉ!」

抱き寄せて、顔を覗き込んで見ると、血は出ていないものの、自分よりも遥かにでかいたんこぶが出来ている。

「な、ナルトォー!死ぬなぁ!」

いつもクールを気取ってい
るサスケは流石に慌てた。

感動の再会がこんな事になってしまうなんて。



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