サスナル

□サスケ先生・5
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-授業風景 2-




「珍しいな。お前がサボりなんて」

「俺だってサボりたくなる日もあるってば」

いや、寧ろ。
ずっとサボっていたい。
と言うか学校に来たくないくらいなのだ。

(…アイツの授業なんか余計出たくないってば…)

そんな事を思いながらナルトは寝転ぶ友人、シカマルの横に腰を下ろした。

屋上に来るのは久しぶりだ。
雲ひとつない青空を見上げると、自分の悩みなんてちっぽけなものに思える。
…筈もなく。

「はあっ」

ため息をつくと、シカマルはお前も大変だなと、困ったように笑った。

「…大変なんてもんじゃねぇってばよ。俺ってば転校したい気分…」

「まあ、あんなやつが教師だとな」

「ホントだってば」

数学の授業だけでなく、常に付きまとう担任のうちはサスケ。
出くわせば、所構わず勝手な妄想をぶちまけ、ナルトを困らせる。

(…困らせるなんて可愛いもんじゃねぇ…)

ストレスで禿げてしまいそうだ。
くしゃっと髪をかき分け、ホントに禿げていないか確認をする。

「禿げてねぇから安心しろ」

シカマルにはお見通しらしい。
感情を隠すのが得意ではないナルトは眉を寄せ笑った。

「シカマルは数学出なくて良いのか?」

「…数学って言ってもなぁ」

「…」

「ありゃ授業って言わねぇだろ」

ちらっとナルト見て、また困ったように笑うシカマル。
ナルトはなんだか申し訳なくなった。


担任のサスケが受け持つ教科は数学。
しかし、その授業で数学を教えてもらう事はほとんどない。

ナルトを前にし、興奮したサスケは授業そっちのけで妄想を爆発させる。
いや、いつもナルトを追いかけ回し爆発させているのだが…。


「いい加減ちゃんと授業やれってば!」

「やってんじゃねぇか。お前に対する愛を教えてんだろ」

「意味分かんねぇよ!数学を教えろよ!皆いい迷惑だってば!」

「あ?周りを見てみろ。こいつら勝手にやってんだろ。あ、いや見るな。お前は俺を見てりゃ良い。俺の、如何にお前を愛してるかを黙って聞いてろ」

ニヤニヤと口角を上げるサスケを知るか、と当たりを見回す。
すると、各自皆好きな事を始めている。
友人と話し出す者、ゲームを取り出し始める者、教科書を出し勉強を始める者、極わずかだがサスケとナルトに興味を持ち、二人のやり取りを見る者もいる。

「〜っ、こんなの可笑しいってば!」

「知るかよ。勝手にやってんだ、悪ぃのは俺じゃねぇ。良いかナルト、俺をこんなにメロメロにしてるお前が悪い。分かったら俺の上に乗って腰を動かせ。極楽浄土に連れてってやるぜ」

「き、気持ち悪い事言うなってば!」

「まったくお前は。人が居るからって照れてんのか?どうしようもねぇな。家じゃもっと積極的なのによ。人前じゃやっぱ恥ずかしいのか?羞恥プレイもたまには−」

「こ、こ、この変態男があああっ!!」


と、これが数学の授業風景。

そんな事がしょっちゅうなわけだから、サボる生徒がいても可笑しくはない。
その一人がシカマルで。

だからナルトが申し訳なくなるのも無理はない。


「そういやー」

と、シカマルは口を開いた。

「…なんだってば?」

起き上がったシカマルは大丈夫かと尋ねる。
ナルトは何が?と首を捻った。

「授業サボったのは良いとして…肝心のお前が居ないんじゃアイツ…」

「…」

探しに来るんじゃねぇのか。
そう続けるシカマルと同時に、校内放送を知らせるチャイムが鳴った。

ギクリと肩を鳴らすナルト。


『うずまきナルト。俺の授業をサボるとはいい度胸だ。今すぐ教室に戻れ。さも無いと両親を呼び出し、お前がサボった事を伝える。それでも良いのか?お前が不良と知ったらきっと両親は…。まあ俺は良いがな。お前の婚約者だと挨拶が出来るからな。そうだな、そうしたら俺の親にも挨拶へ行こうぜ。晴れて両家公認の仲になるわけだ。は、なんだか楽しくなってきたな。よし、今からお前の親に電話してくる』


プツッと音が切れると放送は終わった。

「俺ってば行ってくるっ!」

言うと同時に駆け出すナルト。
生徒に迷惑かけるのも申し訳ないが、両親に迷惑をかけるも嫌だ。

サボった事以前に、変態教師に迫られているなんて知られたくない。
もし、そんな事を知られてしまったら…。

ナルトは青ざめ、足を早めた。



残されたシカマルはと言うと。

(…両家公認って、何でナルトの親が認める前提なんだ)

青空を見上げ、しみじみ思うのだ。

「あいつもめんどくせぇやつに惚れられたもんだな」


END


2019.1.9

久しぶりのサスケ先生更新。

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