サスナル

□サスケ先生・4
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-健康診断-




「失礼します」

引き戸を開け保健室の中へ入って行くナルト。

今日はこの学校へ入学して初めての健康診断。

中学の時よりも身長が伸びてます様にと願いながらナルトは戸を閉めた。

「宜しくお願いしますってばよ」

「はい、どうぞ。ええと君はうずまき…!君がナルト君か」

校医は名簿から視線を外し驚いた様にこちらを見る。

そして、ポツリと一言。

「ほお…実物の方が…」

「へ」

椅子に腰掛ける校医を見て、ナルトは首を捻る。

どうやらこの校医はナルトの事を知っているみたいなのだが。

「…、」

ナルトには覚えがなかった。
初対面の筈なのだが。

もしかして自分が覚えていないだけで、実は知り合いなのかも…と、ナルトは少し戸惑いながら聞き返した。

「あの…、えっと…俺達って」

すると校医は、ああすまないと笑って腰を上げた。

「…」

ナルトは一瞬、その笑みが誰かに似ていると思った。
だが、そんな訳ないと浮かんだ人物を消し去る様に頭を振った。

しかし…

「初めまして。弟がいつもお世話になってます」

「――!」

その言葉で、ナルトは嫌な予感を抱く。

(いや違う、絶対違うっ)

まさかと思うが、その続きを言わないでくれとナルトは耳を塞ぎたくなった。

だが、そんな願いも虚しく。ナルトの嫌な予感は見事的中してしまう。


「サスケの兄のイタチです」

「…、」

奈落の底に落とされた気分…とはこの事か。
ナルトは目眩を覚えた。

サスケに兄がいたなんて。
しかもその兄と、サスケが居るこの学校で会うなんて。

きっと誰だって思うに違いない。
…変態の兄弟なら、同じ…だと。

少なくともナルトはそう思ってしまう。
根拠は無いが、そう思ってしまうのだから仕方がない。


頭を押さえて放心状態でいるナルト。
イタチは具合が悪いのかと心配して、ナルトをソファーに座らせた。

「大丈夫かい?顔色が悪い」

大丈夫じゃないです、なんてとても言えない。

ナルトは必死に笑みを作り、大丈夫だという事を伝える。

イタチはしゃがみ込んでナルトの顔色を伺った。

「本当に大丈夫かい?…急に顔色が悪くなったから驚いたよ」

「へ、平気です」

「…もしかして、サスケの兄って言ったのにびっくりしたか?」

「はい。…あっ」

思わず返事をしてしまい、ナルトは慌てて口を押さえた。

「君は素直だね」

イタチはクスクス笑い、気にした風もなく続ける。

「あのサスケだ。君が驚くのも無理もない。俺もアイツには少々困っていてね」

「…え?」

「話には聞いている。随分弟が迷惑をかけてるみたいだね。兄として謝るよ」

言って、頭を下げるイタチにナルトは目を丸くする。

「あの、先生、」

頭を下げるイタチにも驚きを隠せないが、それよりも驚愕している事があった。

(…変態の兄弟なら同じ変態…)

そう思っていた事が全く違っていて。

呆然としていたナルトは、未だに頭を下げているイタチを見て今度は自分が恥ずかしくなった。

(…そうだよな、兄弟だからって同じとは限んねぇじゃんか…)

そうなのだ。

今の現状を見ればまるで違うではないか。

律儀で誠実そうなイタチと、変態そのもののサスケ。
例えるなら天使と悪魔。
イタチがどこまでサスケの言動や行動を知っているのかは不明だが、こうして頭を下げている時点でサスケとは違うのだ。

ナルトは、自分の勝手な想像を恥じ、逆にイタチに謝ろうとした。


したのだが――…。




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