サスナル

□サスケ先生
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「書け」

「書けません」

「書けよ」

「嫌です」

「今すぐ書けっ」

「嫌だってばっ」

「〜ってめぇ…」

「〜っ」


職員室の一角で騒ぐ教師と生徒。

周りにいた教師達は、何故か生徒のナルトに哀れみの視線を向けていた。


-サスケ先生-


ことの発端は、ナルトが提出物を白紙で出した事から始まった。

それに激怒した、ナルトの担任、うちはサスケがナルトを呼び出したのだ。

提出物を白紙で出したのだからサスケが怒るのも無理はない。
教師として当たり前の態度である。
…のだが。

実際は…

「ここにてめぇの名前書いて判押せってんだよ!」

「冗談じゃねぇってば!このイカれ教師がっ!」

まるで違うのだ。

サスケは、生徒のナルトに婚姻届を寄越したのである。
それもテストと言って。

前の席の友人から紙がまわって来た時、ナルトはもちろん、友人も顔を引き吊らせた。

「な、難問だな…」

そう言って、前へ向き直る友人。
ナルトは固まり震えた。

何せ、自分の手には婚姻届。
しかし、他の生徒には普通のテスト用紙。

(あの野郎…っ)

そんな訳でナルトは白紙で出したのだ。それこそ当然と言えよう。

このうちはサスケと言う男、何やら入学したての、それも男の、生徒のナルトに恋をしたらしい。

入学初日に一目惚れしたと、教師や生徒の前で告白をされ。
断っているにも関わらず、ことある事に校内放送で呼び出しをされ。
休み時間はどこまでも金魚のフンの如くついて回られ。

ナルトはうんざりしていた。

別にサスケが嫌いな訳ではないが、ここまで異常な行動をされれば嫌にもなる。

そんなこんなで周りの教師がナルトに哀れみの視線を向けているのも仕方のない事で。

何で誰もサスケを注意しないのかと疑問に思うナルトだが、実はサスケがこの学校の理事長の息子だから皆何も言えない、とは知るよしもない事。

要は、有名校なだけに自分等の将来を考えればの事。
口を出した時には何が返ってくるのか不安と言う。何とも自分勝手な教師達である。

そんな事知らないナルトは毎回助けを求めるのだが、教師達はさっと視線を逸らしてしまう。

(何でだってばよ…)

がっくり肩を落とし、目の前の変態教師を睨み付ける。

しかし、何を勘違いしているのかこの男は。

「そんな可愛い顔したって無駄だぜ。ここで犯されてぇのか」

「…」

(もう死んでしまえ)

項垂れるナルトにニヤニヤ笑みを向けながらサスケは続ける。

「初めてはやっぱ俺ん家が良いよな。あ…待てよ。学校ってのもスリルがあって良いな。どう思うナルト?」

「…俺ってば帰りたい」

「あ?帰ってプレイか?やっぱ家が良いのか。よし分かった。仕方ねぇな、じゃあ書け」

「…」

「さっさと書いて判押せよ。それから俺の家行こうぜ。心配すんな、この紙は俺が大事に保管して、お前が18になったら一緒に出しに行こうぜ」

「…嫌だ」

「何?書くよりも早く俺とヤりてぇ?おいおい大胆だな。やっぱ若さか?性欲が有り余ってんだな。でもナルト。俺だって負けねぇぜ」

「…っ」

セクハラだ、セクハラ。訴えるぞこのクソ教師っ。

ナルトは拳を握り締め、ギリッと奥歯を鳴らした。
そうしないと今にも飛びかかり、殴り飛ばしてしまいそうだった。

が、

それは、だった、ではなく現実化してしまう。
次のサスケの一言で。






「ほら見ろよ。俺はいつだってビンビ」

「うあああああっ!!」

立ち上がったサスケと、盛り上がったサスケのそれを視界に入れた瞬間、ナルトは叫び拳を振り上げた。

「グホァッ!」

「この変態教師!こんなもんこうしてやるってば!!」

鼻血を出し踞るサスケをそのままに、机にあった婚姻届を丸めて遠くに投げる。

「おいっ」

「くそったれえええ!!」

そして、ナルトは逃げ出した。

だから、ナルトは気付かなかった。

「……フッ」

サスケの口角が上がっていた事にも。

サスケの鼻血が自分の指についていた事にも。

まして、その手で婚姻届に触れていた事など知る術もなく。

更に、最悪な事に、
印を押す場所に運悪く血の拇印がついてしまっていた…など、ナルトはまだ知らない。

知った時にはもう…。


「早く結婚してぇな」

サスケは未来を想像して笑みを深めた。


END


初、教師サスケ×生徒ナルトでした。


2010.7.23
 

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