カカナル
□想い人
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「サスケはぜってぇ連れ戻す!」
「…」
力んでそう言い放つナルトに冷めた目を向ける。
そんな俺にナルトは気付いていない。
サスケ。
サスケサスケサスケサスケサスケサスケ。
ナルトにはそれしか見えていないんだろうか。
分からなくもない。
サスケは大事な仲間だもんね。
でも、お前の恋人は俺だよ?
サスケはいなくて、目の前にいるのは俺だよ?
それなのに俺を見ないってどういう事なの。
「そんなにサスケが大事?」
「?当たり前だってばよ!」
「俺とどっちが大事な」
「え?」
やっとこっちを向いたかと思ったら、目を丸くするナルト。
何をそんなに驚いてるの。
「どっちが大事なの?」
「…どっちも大事だってばよ?」
「でもお前にはサスケしか見えてないよね。お前と付き合ってるのは俺なのに、お前はサスケしか見てない。こんな惨めな事ってないよね」
「…カカシ先生…?」
とても気分が悪いよ。
「サスケサスケっていないんだよアイツは」
どうして分からないかな。
「…、」
「俺を見ろよ」
「…んう…」
泣き腫らした顔で眠るナルトを見つめる。
酷く抱いてしまった。
嫌だ、やめてと泣くナルトを組み敷いて欲望のままに突き動かした。
そんな風に抱きたかったわけじゃない。
それでも俺をそんな風にしてしまったのは他でもないナルトで。
この子の事になると理性なんてものは吹っ飛んでしまう。
俺だけを見て欲しい、俺だけを想って欲しい。
セックスの時だけは俺の事だけを考えてくれている、俺だけを感じてくれている、そう思えるから。
サスケサスケと口にするナルトを許せないのだ。
本当はセックスだけの時だけじゃなく、常に俺を見て欲しい。
それはヤキモチなんて生易しいものじゃない。
醜い嫉妬だ。
自分でも分かっている。
分かっているけど、許せない。
ナルトが悪いわけじゃない事も分かっている。
この子は人との繋がりをとても大事にする。
仲間だからアイツを諦めきれないっていうのも知っている。
それ以上でも以下でもない事も。
本当は分かっているんだ。
でもね、俺には耐えられないんだ。
もう二度とアイツの事を口にするなとは言わないよ。
けどね、ナルト。
早く気付いて欲しいんだ。
サスケはもう、いないんだよ。
END
サスケ死んじゃってますね。
多分カカシ先生がやったんですよ。
2019.5.11