カカナル

□お願い・2
1ページ/1ページ


「ナルト」


「…ん…」


「ナルト、起きて」


「…眠い…」


「ダメだよ、起きて」


「…んんー…」


「起きて、俺を見て」


先生はよく俺を困らせる。
今だってそうだ。


ゆさゆさと揺すられ目を開けると部屋はまだ暗くて。


時計を見たらまだ五時半にもなってない。

今日はお互い任務がないからゆっくりしようって話したのに。


「…まだ朝早いってばよ…」


「早くないよ、起きて」


「もう少し寝さしてってば」


「………ナルト…」


まだ寝たくて布団を被った。


そしたら、


「…?」


やけに静かになったから逆に気になって。

もそっと布団から顔を出したら、先生がいなくて。


「…先生?」


呼んでも返事がない。

起き上がって部屋を見回しても先生の気配がなくて。


「カカシ先生?」


ベッドから飛び出した。


どこだってばよ。

いつもは無理にでも起こしてくるのに何でいないんだよ。

お願いだよって俺を困らせるじゃんか。

何でいないんだよ。


「カカシ先生!」


「…っ、」


「…あ…、」


居た…


先生はリビングのソファーで丸くなって、泣いていた。


「カカシ先生…」


「…ナル、ト…」


「何でそんな所にいるんだよ、」


「ナル、ト…?」


「…、」


そのまま先生に抱きついた。


息を飲む音が聞こえた。


「…、どうして、泣いてるの…?」


聞かれて、自分が泣いている事に気付いた。


「カカシ、先生」


「…ナルト…」


先生に抱きしめられると安心した。


「…先生がいなく、なったとおも、た」


「…ナルト」


「いつもみたいに、起きるまで起こせってばよ…」


「ナルト」


先生の声に、匂いに、温もりに、安堵する。


「いなくなったらダメだってばよ」


「うん」


先生の大きな手が俺の頭を撫でてくれて、それがとても心地良い。


いなくなってしまうんじゃないかって、不安になるのは先生だけじゃない。


それは俺も同じで。


「せんせー」


「ふふ。ナルート」


微笑んでくれる先生に自然と俺も笑顔になる。


「早く起きたし今日は何しよっか」


「そうだねぇ」


「さっきまで泣いてたのに機嫌良いってばね?」


「それはナルトもでしょ。でもお前が起きてるから先生嬉しいの」


「ニシシッ」


「なーによ」


「何でもねぇってば」


泣いてる先生も嫌いじゃねぇけど、やっぱり笑ってくれる先生が一番嬉しい。

それはきっと先生も同じ。

そうであると思う、今日この頃。


END

何か違うんだよな…。

2019.3.28
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ