カカナル

□お願い
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「ナルト。寝ないで」


「…無理だってば」


先生はよく俺を困らせる。
今だってそう。


「ナルト。目瞑っちゃだめ」


「…無理言うなってば」


「どうして?」


どうしてって…、眠いんだ俺は。


「寝ないで」


「…眠いってば」


「ナールト。寝ないで」


「んー…」


「ナルト。ナルト」


うとうとしてるのに、体を揺すられて目を開ける。

…何、泣きそうな顔してんだってばよ。


「…お願いナルト」


「…どうしたんだよ」


「寝ちゃダメ」


「なんで」


「ずっと俺を見て」


「…」


「一瞬も。お前の瞳に一瞬でも、俺が映らないなんて考えられない」


先生、可笑しくなっちゃうよ。

そう言って、先生は涙を零した。


「ね。お願い、ナルト」


「…先生」


「お願いお願い」


「先生」


「お願いだよ」


「分かったから」


「…、ホント…?」


嬉しそうに言う先生。
涙で顔がぐちゃぐちゃ。


何が引き金か分かんねぇけど、先生はたまに、ものすごく不安になるらしい。

俺がいなくなってしまうんじゃないかって、涙を流すほど不安で堪らなくなるらしい。

そんなに不安にならなくたって、俺はどこにも行かないのに。

でも。


「ね、起きてる?」


「起きてるよ」


「起きてる?」


「うん」


「ふふ」


それだけ愛されてるんだって知ったら、そんな無理なお願いも嫌じゃない。


とりあえず。

先生が寝るまで起きててやるってば。


END


2019.1.8

うーん…。

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