カカナル

□普通じゃない
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上忍待機所で楽しそうに喋っている紅と男。

男が誰だか知らないが、少し離れた位置から二人を見ていた俺はその様子が不思議で仕方なかった。


-普通じゃない-


「お疲れさん」

ガラッと戸を引き入ってきたアスマに視線を向けると、
くわえ煙草をしながらアスマは紅に手を上げて挨拶し俺の隣に座った。

「…」

紅もまたアスマに笑みを向けて同じく手を軽く上げ挨拶すると何故か此方には来ないで、再び男との会話を再開した。

「…」

俺はさっきから不思議で仕様がなかった疑問を来たばかりのアスマにぶつけた。

「お前達付き合ってるんじゃないの?」

「ゲホッ」

聞けば、アスマは丁度煙を肺に吸い込んだばかりだったのかむせ出した。

「ゲホッ…何だよ、急に?」

咳き込みながら聞いてくるアスマに、俺は心配するでもなく、また疑問をぶつける。

「だから、紅とお前付き合ってるんじゃないの?」

「…はあ。……今更だろ?」

漸く落ち着いたのか、アスマは眉を寄せて反対に聞き返してきた。

「付き合ってるのよね?」

「…それが何だよ」

「じゃあアレ良いの?」

「は?アレ?」

俺は紅の方を見てみろと促す。

そこには未だに楽しそうに喋っている紅と男。

「…?」

それを見たアスマはアレが何?と今度は首を傾げた。

「…」

俺は信じられなかった。アレが何?って何?
俺が聞きたいよ。

「紅はお前の彼女だろ?目の前で他の男と仲良さげに話してんの見て何とも思わないの?」

「は?」

は?じゃないよ。何度も言わせんな熊。
目の前で、彼氏の前で彼女が他の男といちゃついてんのよ?
何がは?なのよ。

そう言うと、アスマは熊って言うなって言ってから、次に別にと答えた。
表情から見てそれは本当に気にしていないようで。

俺は目を見開いた。だって信じられない。あり得ないじゃない。

「お前本当に紅の事好きなの?」

「はあ?今度は何だよ?」

いよいよアスマは怪訝な顔をして俺を見やる。
けどそんな事知った事じゃない。

「俺なら許せないよ」

「…?」

「自分の目の前で他の男といちゃいちゃされて。そんなの許せんの?」

「いちゃいちゃって…。別に喋ってるだけだろ?」

「浮気だよ」

「はあ?」

はあ?じゃないよ。
あんなのどう見ても浮気じゃない。
可笑しいじゃない。

…っておい熊。変な顔でこっち見ないでよ。
何その顔。俺変な事言ってるわけ?

「…浮気ってお前なぁ。ただ喋ってるだけだろ?」

「彼氏を差し置いて何を話すって言うのよ?喋るなら自分と喋れば良いじゃない」

「…」

何よ、その沈黙。
だから変な顔で見ないでよ。
気持ち悪い。

俺が睨むとアスマは顔を引き吊らせた。

「…お前、ナルトと付き合ってんだよな…?」

「気安くナルトを呼ばないでくれない?付き合ってるから何よ?ナルトを俺から盗ろうっての?」

「…、」

変な顔、引き吊った顔、その次は呆れ顔?一体何だって言うのよさっきから。

「…お前さ、ナル…うずまきの時そうなのか?」

「何が?」

「だからそんな嫉妬深いのかって」

「なにそれ?」

俺が嫉妬深いって?そんな事ないでしょ。

俺が本当に嫉妬深かったらナルトは外になんかでられないでしょ。
本来なら誰にも見せたくないのに。
閉じ込めて俺だけのモノにしたいのに。
それをしない俺は甘い方でしょ。

アスマ、可笑しいんじゃない?
目の前に居る紅をほったらかしにしてるなんて。

俺なら考えられない。

「…、」

「何?」

「…うずまきも大変だな…」

「さっきから何言ってんの?意味解らないんだけど」

俺が言うと、アスマは煙草を揉み消して新しい煙草を口にした。

「うずまきが他の奴と喋ってんの、浮気になんのか?」

「なるじゃない。お前頭可笑しいの?」

どうなってんの。
お前の思考を疑うよ俺は。



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