カカナル

□呪縛
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「カカシ先生大好き!」

そう言って飛び付いてきたナルト。

俺は目を細め、ナルトを抱き寄せると同じく気持ちを伝えた。

「俺もナルトが大好き」


-呪縛-


「カカ、シ、せんせ…?」

震えた声で俺を呼ぶ愛しい子。

振り向けば、小刻みに身体を震わせ、青ざめた顔でナルトは泣いていた。

「どうしたの?」

問いかければ、ナルトは身体を強張らせ、視線を俺の身体に移した。

「…?」

自分の身体に何かついているのだろうか。
つられて自分の身体に視線を辿らせれば。

ああ、なるほど。

俺の手や服に付着した血痕。

ナルトはこれに驚いていたのか。

理由が解った俺は笑みを浮かべて、ナルトを安心させる為に優しく声をかける。

「大丈夫だよナルト。これは俺の血じゃないから。返り血を浴びただけ」

「――っ!」

その瞬間、息を飲むナルト。

「心配してくれたの?お前は優しい子だね。安心しなさい、先生は怪我してないから」

言って、ナルトの方へ歩み寄れば、ナルトは顔を歪め後ずさった。

「…ナルト?」

ナルトの行動に驚いて足を止める。

「どうしたの…」

「…な、で、…なんでっ、」

無理やり出した様な声で何でと聞いてくるナルト。
俺は意味が解らず、首を傾げて何がと返す。

するとナルトは口を押さえ、俺から視線を反らし、俺の背後を見やった。

「…」

後ろ?
何だろうと思い、またつられて振り返る。


そこには――…






「……ああ」

血塗れで横たわる屍。


何だ。
ナルトったら忍の癖に。

死体くらい見慣れてるでしょ?

「…アレがどうかした?」

再びナルトを視界に入れて、くすくす笑いながら聞けば。

ナルトは目を見開き、まさかと言うような顔を見せた。

「…せ、先生、…嘘、だろ…?…違うよな先生じゃない、よな…っ?」

「何が?」

泣きながら途切れ途切れに言うナルトが可愛くて見とれていれば、ナルトは歯を食い縛り声を荒げた。


「サイを、殺したの先生じゃないよなっ…!?」


鋭い目付きで俺を見るナルト。

俺は口角を上げて、次に瞬身でナルトの正面に立った。

「…っ!?」

驚くナルトの腰を引き寄せ、耳元で囁く。

「だって邪魔なんだもん」

「――っ!!」

途端に暴れだすナルト。

「何でっ…!」

だけど逃がさないよ。

ナルトの後頭部を掴み隙間なく抱き寄せて俺は更に続ける。

「ナルト。アイツとキスしたでしょ?」

「…っ!」

今まで暴れていたナルトはぴたりと動きを止めた。

「大丈夫。解ってるから。無理やりされたんでしょ?」

「…違っ」

否定なんかしなくて良いのに。
もうサイは死んでるんだよ。
もうナルトを恐がらすものなんて無いんだよ。

「サイに脅されたんでしょ?じゃなきゃしないよね。だってナルトは俺のじゃない」

「…な、俺は」

「俺にはカカシ先生が居るってどうして言わなかったの?カカシ先生と付き合ってるって何で言わなかったの?」

「…何、言って」

「里で変な噂が流れてたんだ。ナルトとサイが付き合ってるって」

それを聞いた時俺がどんな気持ちだったか解る?

一気に血の気が引いて。
それから腸が煮えくりかえって。

だってお前は俺のじゃない。

だからこんな事になっちゃったのよ。

「だから殺したんじゃない。サイに聞いたらナルトと付き合ってるのは自分だなんてふざけた事言うから」

「…俺、サイと、」

「お前は先生が大好きって言ったものね。そうでしょ?俺が一番でしょ?ねぇナルト?」

「…あれ、は…」

「サイには言えなかったんだよね?脅されて。怖かったねナルト。でも大丈夫。これからはずっと先生が側に居るから」

「…っ、」


そうだよ。

俺がナルトから放れなきゃ良いだけ。

今回は俺の不甲斐なさが招いた事。

でもこれからはそんな事は一切起きないから。

だってお前は俺のモノ。

俺がお前を守るのは当然でしょ?

邪魔する奴は、男だろうが女だろうが俺が始末してやる。

だから何も心配はいらないよ。

安心してね、ナルト。

俺は震えるナルトの身体を力強く抱き締めた。


END


アンケートで頂いた「ナルトと付き合っていると思い込む先生」を書かせて頂きました。

そんな先生になっていますでしょうか?

なっていなかったらごめんなさい(涙)
そしてサイ、犠牲にしてごめん(汗)

素敵なリクエスト、そしてアンケートのご協力ありがとうございました。


2010.8.6
 

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