カカナル
□歪んだ愛
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「ナルト?」
「…お、れ」
「うん?」
「…俺、先生と、住む」
言ったのと同時に零れた涙。
里の人を傷付けられたくなくて、先生にそんな事させたくなくて、気付いたらそんな事を口走っていた。
「…どうしたの、急に」
涙で霞んで先生の顔はぼやけていたけど、声からして少なからず驚いたんだと解った。
「すみ、たい」
「ナルト?」
「先生、とずっと一緒に居た、い」
「ホント?」
「ホン、トだから…っ、だから、目ぇ取るとか、止め…っ、ダメだってば…っ」
俺はそのまま先生に抱きつき泣いた。
里の人が傷付けられるくらいなら、俺が先生の側に居ればいい。
「ナルト?泣いてるの?」
俺を抱きしめる先生に、これがいつもと同じカカシ先生なのかと、
何でこの人を好きになったのか、先生の何を見て好きになったのかと、自分が解らなくなった。
「ナルト?泣かないで、先生ここに居るから」
この今の状況でさえ、ホントに先生が好きなのか解らない。
でも、今は何も考えたくなくて、
ただただ泣いた。
だから、見えなかった。
先生が不適な笑みを浮かべているところなんて。
「ナールト、愛してるよ」
END
2010.6.24