カカナル

□勝手な大人
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「俺、九尾嫌い」


「へえ」


俺だって好きで飼ってるんじゃない。


「正確には九尾の力が、嫌い」


「…」


「だって。いくらお前を痛めつけてもすぐに傷治しちゃうじゃない」


「…」


「キスマークだってすぐに消えちゃうし」


「…」


「せっかく俺の印をつけてるのに」


「…」


「殺したいよ、九尾なんか」


俺だって、そう思うよ。
親父を殺した化け物なんか。


「でもしない。ナルトが死んだら困るもの」


「…」


「俺ナルトの事愛してるもん」


「…」


「ナルトもそうでしょ?俺の事愛してるよね?」


「…うん」


嘘。俺はそこまで好きじゃない。


けど、言わないと何されるか解んねぇし。


両手両足ギブスの俺はそう答えるしかねぇじゃん。


「ね、骨引っ付いたかな?」


「引っ付いてねぇ」


「外す?外して見てみようか」


人の話を聞こうよ、カカシ先生。


「やだ」


「何で?見せてよ」


やだよ。

だって、これとったら。

治りかけてるの見たら、また折るんだろ。


「ナルト。先生見たい」


「だめ」


痛いの嫌いだもん。


「お願いナルト」


「やだ。見せたら先生また折るじゃん」


「仕方ないじゃない」


何がだよ。


「お前を独り占めする為なのよ?」


何だよ、そのわけ解んねぇ理由。


「動けなければこの部屋から出れないでしょ?」


「…」


「ナルトを独り占めしたいの。俺だけを見てほしいの」


「…そんな事しなくても先生しか見てねぇってば」


「ふふ。知ってる。だけどダメ。見せて?」


「…」


どんだけ自信過剰で、どんだけ我が儘なんだよこの人。


「お願いナルト。痛くしないから。ね?」


痛いに決まってんじゃんか。


「ナルト」


「…はあ」


「ナルトナルト」


おもちゃをねだる子供みたいだ。


ホント…


「あんたイカれてる」


「ふふ。そう言うナルトも、ね」


ああ、腕を差し出す俺も相当イカれてる。


END


痛め付ける事でナルトを閉じ込めるカカシ先生。

何だかんだ言って、ナルトも先生が好きなんです。

多分

2010.6.5
 

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