賞味期限切
□湿った袖
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床に手をつければ冷たくて
今まで温かさに溢れていた手のひらから温度が奪われてしまいそう
「…」
床に横たわった貴方の頬に手を触れる
少し、いつもの君とは違うかな
いつもと変わらない君
いつもと変わらない人の感覚なのに
只1つ違う
「…はん、べ」
だんだんと体温を失っていく、けれど
そんな貴方のことを見るのが嬉しいわ
もう苦しまなくていい
もう死に恐怖を感じなくていいの
安らかに、もうこっちを振り向かずに私を置き去りにして
湿った袖
(半兵衛の幸せが私の幸せなはずなのに、
半兵衛が苦しんでない姿を見たって笑えないよ)(涙が溢れるよ)
(今直ぐ抱きしめてその理由を教えて…半兵衛)