遊☆戯☆王 デュエルチャンピオンズ

□第一話 始まり
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〜購買部〜

「はいはい、押さない押さない」

いつもこの時間になると購買部でドローパン・・・この学校の代表的で人気パン、何が中に入っているのかはわからないまるでデッキからカードを引くように味や中身がランダムのパン。
たまにカードが入ってるとか入ってないとか。
そのパンをドローしては食べる生徒達、それもその筈、幻の黄金のタマゴパンがあると聞いてるからだ。
作者は大の卵嫌いなのでそんなパン当たりたくない、寧ろ納豆パンとか食べてみたいというのが本音。

「人混み・・・やだな」

そう言いつつ霧は縫うように前に進んでいく。

「これだ」

霧はパンを十個手に取りカウンターで清算する。

「おばちゃん、これ」

「はいよ」

ハキハキした声の見た目50のぽっちゃり系の購買のおばちゃん、名前は栗原 七恵(くりはら ななえ)。
女子からはななちゃんと呼ばれてる。
生徒達を先導するのは、店員の小山 ヤコ(こやま やこ)。
まだ20代前半の若いお姉さんだ。

「・・・騒がしいったらありゃしないな」

霧はドローパンを抱え屋外に出る、そこに丁度良い木陰がありそこを昼食の場に決めた。

「・・・ん?」

「あ?」

そこにはメロンパンを食べてるイエローの制服を着た男子生徒がいた、彼の名は椚 直輝(くぬぎ なおき)。
好青年で身長はやや高め。
その隣に霧は座った。

「ここ、風が気持ち良いだろ」

「・・・そうだな」

霧はそう返すとドローパンを頬張りはじめた。

「って、お前誰だ?」

「・・・焼きそばか」

「おい、聞いてんのか?」

「あぁ、すまん、俺は上津遊 霧だ」

霧はドローパンをもぐもぐと食う。

「俺は椚 直輝、宜しく上津遊」

「宜しくな、椚」

「お、上津遊!見ろ!風で女子のスカートめくれてる!」

直輝は立ち上がり目を輝かせ、下を指差す。
その差した先に女子が突然の風にスカートを抑えてる様子がでていた。

「興味ない・・・」

「まさか、お前・・・ノーパン派なのか?」

「違う、俺は単にそういう部類が苦手なだけだ・・・」

この学校には変態しかいないのかよ、と霧は心の中で思い二つ目のパンに手をかけたその時。

「あれ?先客?」

「んー?どうしますか?」

「ここ、風気持ち良いですよ、つねつね」

三人のブルー生が現れ、一人は男子で高い背に真面目な雰囲気彼は表裏 狐(ひょうり きつね)・・・オベリスク・ブルーの三年だ。
おっとりして少し抜けた風のしゃべり方をしているお姉さんは狐と同じく三年の水野 明美(みずの あけみ)だ。
彼、狐と明美は所謂幼馴染だ。
最後にボーイッシュな感じの女の子、水野 美帆(みずの みほ)・・・ブルー一年で明美の妹だ。

「・・・」

「・・・あ」

美帆は直輝を見るなり驚いた顔をする。

「あ、君は!」

「だ、誰っすか!?」

「憶えてないの?」

「・・・俺は変態神で貴方と初対面だ」

「お前それ、アウトだろ、人として」

急に片言になり顔を逸らす直輝に霧は冷静なツッコミを入れ食を進める。

「今日は天気が良いですし、ご一緒大丈夫でしょうか?」

「別に構わないけど」

素っ気なく霧は返す。

「はい、では失礼しましょう」

「今度はキムチニンニク納豆か・・・珍しいのも入ってんだな」

「貴方、上津遊 霧くんでしょ?」

二人で話を進めてる美帆と直輝を放置し明美が霧に聞いてくる。

「・・・そうだけど」

「モノホン!?つねつね!モノホンの上津遊くんだよー」

「つねつねは人前でやめて下さい」

ハァとため息を吐き霧の隣に狐は座る。

「・・・あんまり騒がれると、迷惑だ」

「あ、すみません」

「それと、あれなんとかして」

三つ目のドローパン(中身はもずく)を顰めた顔で食いながら直輝と美帆を指差す。

「だから、俺は違うって!」

「そうだって!あの時の!」

「知らない知らない、俺はただの変態神だ!」

「美帆、そろそろ食べましょう」

「・・・うん、お姉ちゃん」

美帆は姉明美の隣に座りパンを頬張る。

「ごちそーさん、じゃ」

直輝は食い終わった様子でその場を慌ただしく去る。

「なんなんだ、あいつは」

『ねぇ〜?』

居たのか、って顔で再死を見る霧。

「あ、上津遊くん」

霧は隣でBLTサンドを食べてる狐に話しかけられた。

「はい?」

「部活に興味ないですか」

「部活ですか」

「はい、ゲーム部という文化部なんですが・・・」

「・・・考えとく」

「そうですか、お願いします!」

目を輝かせる狐。

「つねつね、そろそろ授業始まるわよ」

「もうそんな時間でしたか、選ぶのに時間かけ過ぎましたか
・・・それでは」

「じゃぁねー、あの子に宜しく」

三人は去って行った。

「授業か・・・眠い」

ドローパンを食べながらとぼとぼと歩き出す。

『早くしないと始まるわよ〜?
それとも、保健体育を私とする?』

「断る」

『えぇ〜』

「きゃっ」

「おっ?」

どん、と霧と何かがぶつかる音がし双方後方に飛ばされた。

「どこ見て歩いてる・・・のよ」

「すいまそ・・・ん?」

パチクリと二人は見る、霧のぶつかった相手は皆本 リリ、少々ツンツンしており暗黒界を使う少女である。
因みにブルー生である。

「・・・霧?」

「どこの誰だ?」

「ほら、同じ中学で三年間同じクラスだった皆本リリ!
それと、同じ部活だったでしょ!」

「悪い、憶えてない」

「なっ!?」

『そりゃ、あの頃は授業放棄でデュエルに没頭してたからねー』

「でも、まー、あれだ
改めてよろしくな、えっと、源李利助(みなもとのりりすけ)だっけ?」

「どこの源氏よ、わたしの名前は皆本リリよ」

「んで、平氏はどこだ?」

「霧、ふざけてる?」

「ふざけてないふざけてない」

あはは、と苦笑いをしてるとリリは立ち上がり手を差し伸べる

「・・・ほら、遅れるわよ」

「あ、あぁ」

霧はリリの手を取り立ち上がる。
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