不二受け
□ひとりの日
3ページ/5ページ
気付くと家を飛び出していた。
走りながら不二に電話を掛ける。
…出ない。
乾がわざわざオレに電話してきた理由がわかった。あいつまた携帯持ってくの忘れたんだ。あーあのバカ!携帯は携帯しないと意味ないだろ!
とりあえず不二の家に行くことにする。いるわけないとわかってるけど、足は自然にそっちへ向かっていた。
不二の家に到着してすぐインターホンを鳴らす。
わかってたけど出ない。
オレは壁に背中を付けて息を整えることにする。頭を垂れて息を吐いているとなんだか足の力が抜けて、その場にしゃがみ込む羽目になった。
「クソ…どこにいんだよ…。」
俯いたまま途方に暮れていると、誰かが走って来る音が聞こえた。その後には聞き慣れた声…
「英二?」
「え、菊丸さん?」
顔を上げるとやっぱり不二がいた。ついでに裕太も。
「もう帰って来たの?」
「うぅん。携帯忘れたから取りに来たんだ。」
「わざわざ?」
「だって、英二に連絡出来ないから…。」
可愛いこと言ってくれる不二がほんとに愛しくなって、裕太がいるのも忘れて思いっきり抱き締めた。
「う、苦しい…えーじっ…!」
「もー!会いたかったよ!」
「わかった…から…苦しいってばっ!」
不二に押されて渋々離れた。不二は息を吐いて、オレの表情を窺うように見上げて来る。
う…かわいい…。
不二はゆっくりとした動作でオレの背中に腕を回してきた。そして一言…
「僕も会いたかった。」
ぐぁ、可愛すぎ!
「あーもー好き!好きすぎ!もーずっと不二といる。」
「うん。ずっと一緒だよ。大好き。」