*一周年記念*

□とっくに気付いているだろう?
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いつから貴方に恋していたのだろう。


どこまでが恋で、どこから愛になったのか。


それすらも曖昧ね。




でもきっと恋とは何なのか、ましてや愛というものが何なのかなんて、貴方とこうしている今でさえわからないままなのだから当然のことなんだと思う。


貴方に触れたくて、触れてほしくて…どうしようもなく胸が苦しくなったらそれは恋?

それだけに留まらず、貴方をもっと感じたくて、貴方にも私を感じてほしくて…貴方と繋がりたくて、一つになりたいと思う程ずっと傍にいたいと思ったらそれは愛?


……言葉で定義出来るものじゃないですね。




私にわかることといえば。



結局は惚れた方の負け、ということ。

溺れる程に深く愛してしまった方の負け、だと思う。


だって貴方という存在が片時も頭から、心から離れていってくれないから。
貴方を想えば何も手に付かなくなるから。

いつだって私は貴方に囚われてるの。


だけどそれでもいいと思う自分がいるんです。




愛しくて仕方ないの。

ひどく滑稽でしょう?




……おかしいですよね。

そんな優しい目、しないで。
こんな私を哀れだと笑って下さいよ。




ほら……ね?


私の負け、なんです。













君は自分が『負け』だと言うけれど、気付いてる?


とっくに気付いてるはずだよね?




愛しているのは僕も同じ。


僕も溺れる程深く君を愛しているんだ。


こんなこと言うのは大人気ないかもしれないけれど、想いの強さは僕の方が君より勝っている自信があるよ。

滑稽なのはお互い様なようだね。




僕は君が恋をするずっと前から君のことを愛していたよ。

君の理論で言わせてもらうと、僕の負けは随分昔から確定しているんじゃないかな。




そうなってくると、どうだろう。


二人が負けを主張していて、どちらも勝っているとは思えないと言う。

勝者不在のゲームなんて面白くないよ。
やめてしまおう?




勝ち負けじゃない。


ただ、君を愛している。




……それじゃ不満かな?


不満じゃないなら、笑って。
いつだって僕は君の笑顔が見たいから。













まるで一つになったかのようにベッドに横になり躯に互いの腕を絡めれば、自然と溢れ出てくる言葉を囁き合う二人。


枢の指先がそっと優姫の頬を撫でる。
優姫の大きな瞳からこぼれた雫は枢の指を濡らしていった。




「……笑ってくれないのかな?
優姫はそんなに僕の事が嫌い?」


「…っ……違います…
嬉しくて…私、おにいさまが大好きです」




涙で濡れた瞳のまま、優姫は切なく微笑んだ。


欲しい言葉をこんなにも優しく真っ直ぐにくれる…
そんな枢に優姫の想いはただただ溢れるばかり。




触れていない場所などどこにもないのではないかと思うくらいにきつく抱き締め合う。


もう、甘い囁きでさえ二人には必要なかった。






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