*novel*
□迫り来る黒
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『やっぱり仲良しが一番だと思うんだ!』
そんな理事長の突拍子もない一言から全ては始まった…
そう、まさかこんなことが実現するなんて誰も思わなかっただろう。
…いや、思うはずもなかったのだ。
「仲良しって…まさか……」
わざわざ呼び出され何事かと思って来てみれば…
理事長の発言を受けて優姫は恐る恐る自分の両隣を盗み見る。
「無理だね」
「無理だろ」
ほぼ同時に決まり切った答えが両隣から返ってくる。
おまけにどす黒いオーラも感じられ、まさに"一触即発"なんていう言葉以外は当てはまらないだろうという雰囲気。
こうなるのはわかっていたはずなのに…
刺すような視線で見られているというのに平然としている理事長をある意味尊敬してしまう。
「あの…枢センパイ…零…?」
空気が重すぎて息苦しい……
「そんなくだらないことで呼び出したのか」とでも言いたげな二人の様子を伺うように、優姫は耐え切れなくなって呼び掛けた。
「あぁ、ごめん。優姫を困らせてしまったね」
(センパイ、微笑んだ背後に黒いオーラが見えるのは気のせい…ですよね?)
優姫は苦笑いを浮かべる事しか出来ない。
「玖蘭先輩が余計に優姫を困らせてるの、わからないんですか?」
(零、どうしてさらっとそんな挑発的な台詞を言っちゃうの!?)
優姫が口を挟む前に理事長が重い空気を払拭するかのようにパンパンと手を叩く。
「はいはい、そこまで!
それで早速なんだけど…僕、二人が仲良くなれるようにいい事考えたんだ!!」
二人の一触即発ムードを切り替えてくれたのには感謝するけれど、どこまでこの人はマイペースなんだろう……
優姫はそう思ったが自分にはこれ以上場の空気を和ませる方法が見つからないため、この際理事長に不安要素満載ながらも乗っかってみることにした。
「い、いいですねー!!
それって一体何なんですか!?」
わざとらしい程のリアクションで優姫が乗っかると、理事長は「よくぞ聞いてくれました」とでも言いたそうな顔で自信満々に答える。
「それはね……
"だるまさんが転んだ"だよ!!」