*novel*


偽りのない言葉
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「優姫、サボってんなよ」

「なっ……零に言われたくない!」

「今見てただろ…アイツのこと。」


優姫は事実なだけに何も言い返せず、ただ横目で呆れたように見てくる零を悔しさ混じりに睨み付けるしかなかった。

深夜、デイ・クラスの皆は眠りについた頃。
優姫と零はナイト・クラスが見える場所でガーディアンとして見回りをしていた。
特にこれといった問題もなく、月も星も輝く雲一つない澄んだ夜。
そんな夜の雰囲気にも誘われ、優姫は自然と憧れのその人へと視線を向けていたのだ。


「……そんなにアイツのことが好きなのか?」


ナイト・クラスに背を向けて、遠くを見つめたまま零が呟く。
優姫は反対に表情一つ変えない零から暗闇に浮かぶナイト・クラスの教室の方へ視線を移した。


「……枢センパイは私を助けてくれた人。
好きとか…そういうんじゃなくて…
そもそも、私なんかじゃ枢センパイには釣り合わないよ」


優姫はどこか懐かしみながら、しかし淋しそうに微笑んだ。
その視線の先には、確かに枢の姿が捉えられている。
まるで自分に言い聞かせるような台詞を吐いた優姫をチラリと盗み見、その視線の先にいる人物も特定できている零は小さく溜息をついた。


「……別に、興味無いけど」

「何それ!聞いてきたの零でしょ!」


零の一言一言に対して過剰に反応を見せる優姫。
零はそれも気を紛らわせるための優姫の強がりだとわかっていた。


「……俺に気ぃ遣う必要ないだろ」

「別に遣ってない……」


優姫はむきになって反論しようとしたが、その言葉を飲み込んで下を向いた。
表情にいつもの明るさはない。
零はポケットに手を突っ込み、目を閉じてただ優姫の次の言葉を待った。



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