企画&拍手ログ
□2009・12・20〜2010・03・27
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時は夜明け。
間もなく、戦は始まる。
天下分け目の大きな戦だ。
「…もうすぐ、ですね」
太閤が亡くなり、二年。
再び訪れた戦乱。
「あぁ」
天下を我が物にせんとする家康。
豊臣の天下を守らんとする三成。
止められるはずなどなく、必然的にそれは訪れる。
そして私は親友の為に戦うと決めた。
「………吉継様」
私の名を呼んだ彼女の声は微かに震えていた。
その声音は今にも泣き出しそうで、胸が締め付けられる。
彼女を引き寄せ、抱きしめると遠慮がちに彼女の手が背中に回る。
「そんな顔をしないでくれ。君には笑っていて欲しい」
「あ……」
実際、私の瞳は光を既に失っており彼女の表情は見えないが、その綺麗な顔を不安で歪めているであろう事は間違いない。
「…………」
彼女も感じ取っているのかもしれない。
これが、最期なのだと。
でも、だからこそ。
「君が笑顔を浮かべていても、今の私には見えない。だが、それでも。笑っていて欲しい」
「…はい」
声はやはり、震えていた。
それは小さく、しかし力強く響いた。
見えなくても解る。
彼女は微笑んでいる。
おそらく、その瞳に涙を溜めながら…。
そんな彼女に微笑み返し、頭を一撫でした。
本当なら口付けを交わす所だろうが、病がそれを躊躇わせた。
「ありがとう。」
君に出逢えて良かった。
「行ってくる」
ずっと、愛してるよ。
例えこの命果てようと――…。
吉継は愛してるとか直接言わなそう。