05/24の日記

20:44

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「中野ォ――!」

「………」




中野を見つけて、
俺は駆け寄った。



「飯食いに行くッぺ。腹へってしょうがねェ…」


ピト、と中野の指が
村井の傷に触れる。


「なっ…!?」

「何だよこの傷はよォ?…まさか俺に黙って楽しいコト(喧嘩)してたワケ?」

「バッ…中野が出る程の相手じゃね―ヨ!俺がちゃんと片付けたって」

「ふ――ん…」

「強くなっからよ。もっと強くなって、お前を守れるようになっから」


そう言うと中野は、
拗ねたような顔になる。

"これ"は照れてるんだと最近知った。


「…せいぜい相手に舐められねェ―ようにな?」

「俺だって強ェ―ゾォ?そりゃ―中野には敵わねェがよ…」


中野はカウンターが早い。
身体が小さい為スピードがある。

けど、それだけじゃなく……
俺は中野を殴れないのである。



「分かってンヨ村ちゃん」


「中野、それより何食いたい?」

「ん―…」

「今日はうどんにすっか?」

「いいけど」


すると、
いつも一緒の3人組と、
クラスの奴ら何人かと出くわす。



「あっ中野さん!ちわ―ッス」

「村井―!飯行くか?俺らこれから食べに行くけど」



わりかし友達が多い俺だから。
1人で突っ走っていく中野は孤独のようで、酷く心配だった。




「村ちゃん、呼ばれてンよ?」


「いや、今日は中野と食いに行くわ。じゃ―な!」



店に着いて、
空腹の腹を満たしにうどんを勢いよくすする。



「村ちゃん…」

「どうした?」



修学旅行後からか…、
中野は軟高の三橋と伊東の事を
よく話すようになった。



「中野……お前が決めてるなら、俺は止めねェよ」



千葉に転校しても、中野がそうしたいなら、
とやかく言うつもりは俺は無い。



俺ら4人じゃ、
中野を守りきれないから、



俺は中野が居ない間に、
1番に繰り上がって、


もっと
もっと
強くなって、



そうして、
お前を追いかける。



「あっち行っても、無茶すンなよ」



1人で居るのが
酷く淋しそうな中野を
放っておけなかった。




お互い、
"強くなりたい"と
心から願うのだ。






fin

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