【2009】

□真ん中バースデー後日
1ページ/1ページ

パンパン、パパパパパン!!!


「………」

爆竹が炸裂する音で高杉は漸く布団から顔を出した

「晋助おはようでござる」
「……殺す…」

何とも朝から物騒なセリフ

「テメェ…何だってこんな朝っぱらから爆竹なんざ鳴らしやがんだァ?」

布団から顔を出した高杉は、こんな馬鹿な真似をした万斉を睨み付けたが

「今日の朝食は赤飯でござる。夜にはケーキも用意してあるでござるよ」

さっぱり聞いちゃいねぇ

「聞けよ」
「え、何でござるか?」
「……もういい」
「?」

なんだか相手をするのも嫌になり、身支度を整え膳の前に座り

「赤飯…」
「今日はおめでたい日でござる。めでたい日は赤飯でござろう」

これ正に常識と言わんばかりの万斉だが

「何がそんなにめでてぇんだ?」

高杉は何故万斉がこんなにも浮かれまくっているのか分からない

「嫌でござるなぁ、拙者と晋助の真ん中バースデーでござるよ」
「はぁ?」
「うん、晋助はこどちゃを知らぬでござるか?」
「……どこ名産の茶だよ?」

そしてそれがどうして真ん中バースデーなどと言うものに繋がるのか

「知らぬのでござるか?!あの、一世を風靡したおリボン代表少女マンガを?!」
「お前ぇ少女マンガなんか読んでんのかよ?!」

びっくりし過ぎてそれ以外に突っ込めない
気のせいか、頭痛がしてきた…

「姫ちゃんのおリボンとか、天下一ファミリー川田とかも好きでござる」
「………あ、そう……」

何の話だかよく分からないが、高杉は万斉を追い出したくなってきた

「それで真ん中バースデーと言うのはでござるな、」

おいおいおいおい、聞いてねぇのに講釈垂れ始めやがったよ…

「……と、言うわけで拙者の誕生日と晋助の誕生日の真ん中の日が6月30日なんでござるよ!!」
「………く、」
「うん?」

呆気にとられていた高杉たが

「くっだらねぇ」
「?!」

聞き終えてからの第一声がそれ
下らない

「ちょっ!?え、えぇえぇえ?!そそそれじゃあ、拙者達の真ん中バースデーを祝う為に集まっちゃって活動しちゃったお嬢さんたちはどうなるんでござるか?!!」
「知るかボケェ!!だいたい6月30日なんざとうに過ぎたじゃねぇかっ!!!」
「う、うう…こんなにたくさんのお嬢さんたちが拙者たちの為に集まってモエモエしてくれたと言うのに、晋助……」
「……………」

ウザイ。心底ウザイ。どうしようもなくウザイ
あまりのウザさにこのまま遊びに行っちゃおうかなぁ〜とか考え始めてしまった高杉だが、万斉が(秘)と書かれた大判の封筒を持っている事に気付いてしまった

「……何だ、それ」
「……見たいでござるか?」

何やら含みが有りそうな万斉
物凄く嫌な予感がする

「いや、別に」

きっぱりと跳ね退けたが

「えぇ?!見なくて良いんでござるかっ?!世の中のお嬢さんたちに拙者たちがどう思われているのか知りたくないんでござるか?!」
「………見る」

頭の中で、好奇心猫を殺す、という言葉が駆け巡った



(秘)の封筒から万斉が取り出したのは何のへんてつもないコピー用紙。ただし、異様に分厚い

「……………」
「それは6月30日の夜にお嬢さんたちが集まってチャットした記録でござるよ」
「……暇人どもが」

ぱらぱらと数枚捲り

「お前ぇ、ずいぶんとけなされてんだな」
「それはお嬢さんたちの愛ゆえでござる」

文面ではかなりけなされ、変態扱いをされていると言うのに、万斉はケロリとしている
……………

「……っな……な、に…?」
「どうしたでござるか?」

不思議そうな万斉の反応に高杉は「内容を知らないのか?」と思ったが、万斉に限ってそんな事は無い筈だと思い直す

「んっだよこれはっ!!裏AVでも作る気かよこいつらっ!!」
「何を申す。拙者と晋助の愛のメモリアル作り協力してくれるという、温かい申し出ではないか」
「ちっげぇだろっ!!ぜってぇ自分の欲望を満たそうとしてるだけじゃねぇかァァァァぁっ!!」
「えぇ〜、そんな事ないづござるよぉ」
「テメェの頭ん中…ん、何だ?」

束ねられたコピー用紙を振り回し、その拍子にピラ、と何かが落ちた

「……契約書?」
「っあ!!」

何故か青い顔になる万斉

「……………」(真顔)
「……………」(青い顔)

ピーンと張り詰めた空気が室内を支配した

「……万斉」
「………はい」
「そこに直れ…叩っ斬ってやらぁァァァアアァ!!!!!」
「ひぃぃィ――――――!!!」

どたどたどたどた……





「晋助様、万斉先輩、何騒いでるんスか?」
「また子、良いところに来た」
「また子殿っ、良いところに!!」
「え?!」

年甲斐もなく部屋の中を走り回っていた二人が同時にまた子に声をかける

「手伝え」
「助けて欲しいでござる!!」

しばしポカンとしたまた子だが、ニッコリ笑って

「はいッス。晋助様」

ジャキッと銃を手に取った

「ノォォオォォ―――!!!!!」


万斉の悲鳴が聞こえたとか

鬼兵隊。今日も何時も通り平和です

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ