【2009】

□同棲記念日そして・・・
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そして、戻って来たときは小さな箱を手にしていた

「………?」

ラッピングもされていないそれを高杉は不思議そうに見ていたが

「――っ?!」

突然万斉が目の前に跪いて,息を飲む

「何してっ…?!」
「晋助」
「な、なんだよ…?」

いつになく真剣な万斉
高杉は雰囲気に飲まれ、ゴクリと喉を鳴らす

「本当は晋助の誕生日に渡そうと思っていたのだが、」

小さな箱は万斉の大きな手の中にあると余計に小さく見える

「晋助、受け取って欲しい」

差し出された小さな箱
そっと蓋を押し開ければ

「………バッカじゃねぇのぉ……?」

中に入っていたのはシンプルなデザインのシルバーリングが二つ
嬉しすぎて涙声で、でも素直に為れなくて憎まれ口

「バカでござるよ」

小さなリングを取り上げて、万斉が高杉の左手を取る

「………」

そして薬指にピッタリと納まったそれ

「受け取ってもらえるか?」
「填めてから聞くんじゃねぇよ」

大切そうに己の左手を抱きしめる高杉

「んで、もう一個は?」
「当然、拙者用でござる」

そのリングもピッタリと万斉の左薬指に納まる

「赦して欲しい、晋助」
「……?」
「もう、晋助の居ない生活など出来ぬ拙者を赦して欲しい」
「赦すも何も…」

言葉に詰まってしまう

「晋助、愛しているでござるよ」
「……うん」

もう一度、高杉はゆっくりと万斉にもたれかかった
同棲記念日を忘れられていた怒りはもう消えて、貰った左薬指のリングが嬉しくて仕方がない

「…なぁ、万斉」
「うん?」
「これって…その…」
「プロポーズでこざる」

プロポーズと同時にほほに軽い口付け

「……あんがとな」

高杉は笑った
嬉しくて笑った

「それはこちらのセリフでござるよ」


一年前は同棲
今年はプロポーズ
来年の6月30日には何が待っているんだろう…?


「ところで晋助、腹は減らぬか?」
「減った」
「ならば食いに行かぬか?良い店を知っているづござるよ」
「奢りだろ?」
「もちろん」


河上万斉の夜の顔
それは高杉晋助の優しい旦那様


高杉・優しい旦那ってよか、尻に敷いてる気がしなくもねぇがな
万斉・晋助、それは言わぬ約束でござるよ




END
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