GAME

□神曲の声を聴け




「リューヤ…大丈夫か?」

「…あ?ああ…」

気が付くと、スレイが俺の顔を心配そうに除き込んでいた。流石の俺も、緊張していたらしい。

俺は今、戦場へ向かっている。

鍛練を何度も重ね、その技術を身に付けていくスピードは異例だった。らしい。
基本、メシアの子っていうのは、普通の人間より全能力が上の方なんだとか。
元々俺は治安が良いとは言えない国に住んでいたから、自分の身を守るぐらいの力はあった。それに戦闘技術を上乗せした程度。だと俺は思っているんだけど。
メシアの子って言っても、戦闘に不向きな奴だっている。だから、すぐに前線に立てる俺のような奴は珍しいってことらしい。

「それで…俺は何をすればいいんだ?」

前を歩くスレイに聞くと、意外な返事が返ってきた。

「言ってしまえば、何もしなくても良い」

「はい?」

「初戦だからな。今日は戦場がどんなものか、見るだけで良い。…いや、足手まといだと言ってる訳ではないんだ。ただ、中には倒れてしまう者もいるからな…」

つまり、無理はしなくても良い、ということか。

…余裕だな。

兵隊でも無いのに無理矢理戦場に連れて来られて…とか、中には子供も、とか、そんな戦争だってあるってのによ。

それだけ、メシアの子と、普通の人の魂ってのは、差があるのかも知れない。

どうするか…

.
  1. 戦場に出る
  2. 出ない


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