GAME

□神曲の声を聴け




「…ん。」



あれ。真っ直ぐ…だったよな?

どっちだ?
ん、こっちだっけ?
違うか?
あれ?


……迷った。


俺は魔王に言われた通り、俺と同じメシアの子を集めた軍の総括をしているという、『スレイ』という男の部屋に向かっていた。…が、

「…ざけんな…」

迷いやすい道だ、とは聞いてたけどよ…なんだ?勇者向けの罠でも仕掛けてんのか?ははは、勇者頑張れ。

……とりあえずぐるっと廻ってみりゃあ、いつかは辿り着くだろ。

よし、それでも見つからなかったら俺が勇者になって魔王を殺そう。そうしよう。
俺が下らない(ちょっと本気)考えをしたその時…

「にゃ〜ん。」

「…は?」

不意に聞こえた鳴き声。
辺りを見回してみれば、足元に一匹の黒猫がいた。…魔界にも、猫とかいんのか?まさか化け猫じゃないだろうな?

それほど俺にとって、他の動物を見ることは珍しいことだった。昔、『黒猫は不吉』なんて言われてたらしいが、別にそんなの関係ないだろう。可愛いは正義。

「にゃっ」

「あっ」

触ろうとしたら、逃げられた。

…べっ別に残念だなーとか思ってねぇし。もふもふしたかったわけじゃねぇし!?

……いや、うん、誰に言い訳してるよ、俺?

つーか今道に迷ってるってこと忘れかけてた…もう行くか…。

ガサガサガサッッ!!

「に゛ゃーーっ!!!!」

「!!?」

どすん!!!



猫を諦めて歩きだそうとしたその瞬間、背後から尋常じゃない猫の叫び声と、

……物凄い音を立てて、何か大きいもの…例えば人間が。…落ちてきたような音が。


…いやいやいや。まさか。まさか人間が落ちてくるわけないだろう…。

きっとさっきの猫が屋根から落ちたんだ。実はスマートに見えて、メタボだったんだ。そうに違いな…

「…いたい…」

……あ、魔界の猫って人語、話すんだな☆

…いやいや帰ってこい俺!!そんな筈ねーだろ!!


.
次へ


[表紙へ戻る]

ゲームブックを検索



©フォレストページ