神曲短編集
□存在価値は、貴方
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ひとり。
またひとり。
冷たくなっていく、屍。
私の体に降り注いだ温かい血液は、既に冷えて。
「起きろ…起きてくれ…命令だ…起きろ!!」
嗚呼、何故――
私は生きているのだろう。
何故私の鼓動は止まらない?
何故私の体は冷えない?
何故私の腕はまだ動く?
何故、皆私を置いていってしまう?
私に生の価値があるとでもいうのか――
誰か、教えてくれ。
私に生き残った価値は、あったのか?
銃を自らのこめかみに突き付ける。
さあ、教えてくれ――
私が生きた意味を。
――――バン。
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