ポケモン小説

□遠い笑顔
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「ハーリー・・」
「もう・・心配したのよ?突然、ノクタスちゃんが倒れるから―」
名前を言うと、ハーリーは子の心配をする母親のように呟いた。

「なにが、あったんだっけ・・・あ・・そうか・・」
考えながら呟いていくと、段々思い出してきた。

確か。
身体がだるくて、頭もガンガン痛んで、段々わけがわからなくなっていった。
意識が、薄れていって、俺はその場に倒れ、気を失った。

「思い出した?」
俺の心でも読んでいるのか、丁度思い出した頃に、ハーリーが尋ねてきた。
「なんとかな・・」
見回せば、確かにここはポケモンセンターで、俺は、今ベッドに寝かされていた。
俺の横たえるベッドの傍らに、ハーリーの姿を確認する。

「・・・で、ノクタスちゃん、お熱があるんですって、だから暫く、ここで静かにしていないと」
おそらくジョーイさんから聞いたのか、ハーリーはそんな口調で、俺の安静を命じる。

「でも、コンテスト・・・」
今いる、この町で、コンテストが行われる。
俺も、それに出なければ。

「コンテストは他の子で出場するわ。ノクタスちゃんは、今はゆっくり身体を休めて、ね」
「・・・・・・」
「それじゃ、あたしはジョーイさんにお話を聞かないといけないから、ノクタスちゃんは、ここでゆっくり休んでてね」
まるで子供に言い聞かせるような口振りで、ハーリーが告げる。



「・・あぁ、分かった」
答えて、俺は寝返りを打った。すると額に乗っていたタオルが落ちてしまう。
仕方なく、俺はタオルを額に乗せ、元の体勢に戻った。
背中が痺れるように痛んだ。


ハーリーが、『早く元気になりましょうね』と言い残し、部屋を後にする。
途端、室内を包む、静寂と、虚無感。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


どれくらい、経ったのか、皆目、見当もつかない。
俺の居る部屋には時計が設置されていないため、どれ位の時間が経過したのかが分からず、余計に時間を長く感じる。

誰もいない部屋に、一人。
取り残されて。眠り、夢に逃げることもできずに。

「・・・ハーリー・・・」
苦痛に耐えられず、俺はとうとう言葉を発した。
返事の返ってこない空間が辛い。


いつも傍にあった、あの笑顔が恋しくてたまらない。


らしくも、ない。
けど。


本当に


寂しくて仕方ない。

不安。


「・・・ハーリー・・・」


胸元に被さる布団を引き上げ、それで顔の鼻の辺りまで覆う。




「・・・・・・っ」



返ってくるはずの無い返事を待ち、俺は目を閉じた。







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