ポケモン小説

□傍にいるから
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「ハーリー?何を見てるんだ?」
俺は、ハーリーが何やら紙切れのようなものをじっと見詰めているので、気になって声を掛けてみた。


「?あぁ、この前のコンテストの写真なんだけど・・」
ハーリーは、その写真から顔を逸らし、俺の方に向いて答えた。









傍にいるから









「この前のコンテストといえば・・」
「あのカモちゃんにゼニガメで負けちゃった時の!」
俺が思い出していると、ハーリーは、忌々しそうに声を荒げる。
それ程、今回のコンテストでの敗北が屈辱的だったのだ。

それを思い出して、ハーリーの表情は怒りに満ちていった。

「アリアドスちゃんは完璧だった筈なのに・・なのに、すぐに形勢逆転されて!もー!!すっごい腹立つ!!」
「・・ハーリー・・」


でも、俺は。


「次こそ、カモちゃんに勝ってやるんだから!」
そう言って、何度も敗北した憎い相手に勝つため、新たに演技を思案し始めるハーリー。



あいつら(ハルカたち)は、ハーリーのこと、悪者のように思うだろうか。

ハーリーは、特に憎い相手に屈辱を与え勝つために、その相手を騙すことを厭わない。
だから、悪人と思われても仕方ないとは思う。
けれど。


「えーと・・あそこで糸を吐いて―・・あー駄目!もっと他に―」

こんな風に、真剣に、コーディネーターとしての腕を上げようとするハーリーを、俺は知ってる。

相手を騙す策だけに頼らず、自分自身、コーディネーターの高みを目指す努力を惜しまないハーリーを、俺はいつも傍で見てきた。

その度、俺も頑張って演技の練習をした。

ハーリーは、その俺の練習に付きっ切りでいてくれた。

二人で頑張ってきた。

・・いや、今は、ジュペッタやアリアドスもいるが。


それでも勝てない悔しさは、俺にも分かる。
俺も悔しい。
ハーリーと共に努力したその技が、あんな小娘に―・・いや、他の誰に負けたことが悔しい。

だから、高みを目指す。

今度は負けない。その為の努力をしてきた。



「・・あぁ無理!思いつかない〜!!」
ハーリーは明らかに苛々している様子で、地面に座り手足をじたばたさせた。

「・・ハーリー」
「なぁにーノクタスちゃん??」
呼ぶと、少しだけ落ち着いた声色で、ハーリーが応える。


「今度は、勝とう。俺も、頑張るから」

次は、絶対。


貴方にリボンを持たせてみせる。



「・・有難う。・・頑張ろう?ノクタスちゃん」
やっと微笑んだハーリーに、俺も微笑み返す。

「よぉ〜し!次こそ!!」
ハーリーは両手を高く上げ、気合を入れて声をあげた。



そう。『次こそ』。


『次がある』と甘えず、『次』の為に頑張る。

ハーリーが、俺を必要としてくれるなら、俺は、いつだってハーリーの傍にいて、ハーリーと共に頑張る。

今までも、今も。
これからも、ずっと。


俺はハーリーの傍にいて、ハーリーの為に、ハーリーと共に。



だから、ハーリー。



これからも、俺を必要としてくれるか?





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