Short.

□確信犯
2ページ/3ページ

「かーずーくんっ」





只今彼氏である和くんの部屋でデート中。


久々のデート。

多分、2週間振りくらい?


忙しいんだもん、しょうがない。





「うわ、強ぇ〜・・・」





彼はゲームに夢中になっている。

こうなったらもう聞いちゃいない。


ゲームが好きなのも知ってるけど・・・

せっかく久しぶりに会えたのに・・・





「和くんってば」


「・・・あー、やっべ」





・・・もうっ!





「かずっ!」


「くぅ〜っ!」





だ、ダメだこりゃ。


今の和也に話しかけても意味がないのは百も承知。

だから今更傷ついたりなんてしないけど。



寂しくならないって訳じゃない。





「・・・ばか」





独り言のように小声で呟いた。


その瞬間、
後ろからブチッと音が音がした。


ゲームの電源を落とした音だ。





「誰がばかだって?」


「えっ・・・」


「俺に聞こえてないとでも?」





和也が後ろから私の顔を覗き込む。





「ちょ・・・ち、近いっ」


「んー?だって、」





私の額に自分の額を重ね、



「こうして欲しかったんでしょ?」



と、私にキスをした。


顔を離せば、決まって赤面の私と得意げな彼。





「ば、ばかっ!」


「お?またして欲しいの?」


「ち、違・・・っ」





有無を言わさず再び唇を重ねられた。


ちょっとした表情を読み取ってくれる。

嬉しいけど、
図星をつかれてばかりでちょっと悔しい。





「か・・・かずぅ」


「んー?」





唇を離してからニヤニヤして私のことを見ている和也。

私が言いたいことを分かっているのだろう。





「何?」


「な、何って・・・」


「言ってくんなきゃわかんないでしょ」





嘘、分かってるくせに。

だからさっきから私の唇なぞってるんでしょ。





「か、かずくん・・・もういっ、」





“もういっかい”

最後まで言わせずに唇を奪う彼は、やっぱり確信犯。


あ、違うか。

和くんもしたかったんだ。


そしたら私も、確信犯。



End.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ