Short.U
□君がため
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幼馴染みの和也は私の家の近くの曲がり角を曲がってすぐの所に住んでいるのにも関わらず、最近は必ずと言っていいほど自転車を走らせてくる。
歩いて1分掛かるか掛からないかという距離に、自転車を移動させる方が面倒なのでは?といつも思うのだけれど、何となく黙っておいている。
そして、彼は毎回何かしら持って来てくれる。
今回は
「・・・う○い棒」
「あるだけ持ってきた」
「・・・ありがとう」
私に渡すと、まるで自分の家のように私より先に階段を上って行った。
そんな昨日はじゃが○こ。
何だかんだいつも私の好みをついている。
飲み物を持って部屋に入ると、和也はいつものようにベッドにもたれて待っていた。
「ごめん、お待たせ」
「ん。ねぇ、これ見ようよ」
「あ、それ私の見たかったやつ!」
和也がチラつかせているのは前々から見たいと思っていた映画。
見に行くタイミングを失った私は、DVDが出るのを心待ちにしていた。
和也からディスクを受け取ってセットすると、ごく自然に和也の隣に腰を下ろした。
「何でコレ見ようと思ったの?」
「んー?」
「てか、何でかずがコレ持ってるの?」
「俺め○たい味にしよ」
「ねぇ、聞いてる?」
「聞いてない」
「聞いてんじゃん」
特に表情を変えることもなく、和也は自分が持ってきたう○い棒を食べ始めた。
私の好きなコー○ポタージュ味を残して。
「ほら、始まるよ」
続いて○ザ味に手をつける彼。
つられるようにして私も手を伸ばしてみる。
もちろんその先はコー○ポタージュ味。
フッと聞こえた微かな鼻から漏れる笑みは、恐らく気のせいではない。