NARUTO Short.
□好きだから
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コンコン、
「んあ?誰だってばよ、こんな時間に・・・」
ガチャ
「え、のえ?」
「お邪魔します」
「は?ちょ、いきなり何だー!?」
日が暮れてからしばらくたったこの時間、女が外を1人で歩くには危ないというのにドアを開けたらまさかののえ1人で。
こんな時間に1人出歩いたことへの怒りと突然の訪問への驚きに、俺の心臓はバクバクだ。
勝手に部屋に入って行くのえを急いで追いかける。
「いきなり何だってばよ!?つーか、こんな時間に1人で外歩くなんて危ねーって何回言えば分か・・・」
「瞬身」
「・・・・・・」
「瞬身で来た」
・・・そう言うこと言ってんじゃねーってばよ!!
このやり取りは一体何度目なのか。
俺の心配はいつもこうしてすんなりと丸潰される。
「・・・で、今日は何の用で・・・」
「用がなくちゃダメなの?」
「いや、ダメってことは・・・ない、けど・・・」
「よし、じゃあ問題ないわね」
のえと付き合って1年くらい経つけど、こういう突拍子もない言動にはまだまだ慣れそうにない。
まあ、付き合って1年って言っても、のえとはアカデミー時代からの顔見知りだけど。
「・・・ていうかさ、」
今度はのえから話しかけて来た。
・・・よく見るともう寝間着姿で。
いつの間に着替えたんだ、いや、それとも元々着てたっけ・・・つーか可愛いな・・・・・・って、何考えてるんだってばよ〜!!!俺は!!
「何でいつも来てくれないの?」
「・・・・・・へ?」
「この時間に出歩くのは危ないって心配してくれるんだったら、ナルトが来てくれればいいのに」
「え・・・だって、別に用事ないし・・・」
「用事とか、そうじゃなくて・・・!会いたかったの!会いたいから来たんだよ、私は!!」
大声で怒鳴っているようにも叫んでいるようにも聞こえるのえの声に、驚いて目を見開いた。
よく見るとのえは唇を噛み締めて、潤んだ瞳から涙を零さまいと俺を必死に睨みつけている。
「の、のえ・・・」
「ヒドイよ、私ばっかじゃん・・・いっつも私ばっかり・・・!どうせ、どうせナルトは私のことなんて好きじゃないんでしょ。だから会いにも来ないし会いたいとも思わないんだ・・・・・・ふぇ、っ・・・」
「・・・・・・」
「・・・っもう、嫌い!ナルトなんて嫌い、大嫌い!!だい、きらいっだ、あ・・・!!ふええぇ・・・っ、」
とうとう泣き出したのえに俺は戸惑い固まったていた。
突然来て居座ったと思ったら急に落ち込んで怒って泣いて。
たった数分の間であったとは思えないこの表情の変わりように、俺の思考は一旦停止。
けど、待てよ待てよ。
表情だけならまだしも、聞き捨てならない言葉を俺はほんの数秒の間に何度も叫ばれていたことに気づく。
「・・・嫌い?」
ぼそっと呟けば、すぐさまのえが反応して。
「、嫌い・・・っ」
「誰が、誰を?」
「ふ、ぅっ・・・あ、たしが・・・っ、ナ・・・ナル、ト・・・をっ、」
「ふぅん。・・・で?」
ため息で何とか気持ちを落ち着かせて、低い声で尋ねる。
「誰が誰を好きじゃないって?」
「・・・、ナルトが・・・あ、あたっ、あたし・・・を、っふぇ、・・・」
「俺が、誰を?」
「ふっふぇ・・・うぅっく、・・・あ、あた、っし・・・ぃ」
「好きじゃないって?」
「・・・、っ」
「本当にそうか?」
泣きじゃくりながらのえは言った。
のえは俺が嫌いだと。
そして、俺がのえを好きじゃない、と。