NARUTO Short.

□私だけの
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忍が人手不足である為なかなか自由な時間が持てない中、久しぶりに同期で飲み会。

心なしか以前会った時よりみんな痩せているように見えたけど、久しぶりの居心地のよさにそんなこといつの間にか忘れて騒いだ。




「そういえばあんた達、まだ続いてんのねー」

「まだって何よ、いの」




気持ちよく酔いかけているいのが私の肩に左手を掛けて寄りかかる。

そんな彼女の一言にサクラとヒナタも食いつくようにこちらに顔を向けている。




「だって、あんた達がイチャイチャしてるとこ1回も見たことないんだもん。ていうか手繋いでるのすら見たことないわ」

「そういえばそうね、私も見たことない。ヒナタは?」

「私もないかも・・・」

「でしょー?だからてっきり別れたんだとばっかり思ってたわよ」




まぁ確かに、私達は外で手を繋いだり、街中でよく見るカップルのようにイチャイチャはしたことないけど。

それもあくまで外でしないだけの話。




「失礼ね、順調に続いてますー」

「本当そうみたいね、ビックリしたわ」

「ちょっと待って。いの、アンタさっきのえ達は別れたんだと思ってたって言ってたわよね?」

「思ってたわよ、ついさっきまで。だからビックリしたのよ!」

「い、いのちゃん・・・どういうこと?」




頭にハテナを浮かべているサクラとヒナタ・・・と、私。

ついさっき?

同じ場所にいるけど私達は全く会話を交わすことは疎か、座っている場所はとても近いとは言えない。

それなのにどうして・・・?




「見ちゃったのよ!」

「見た?見たって何を?」

「視線よ、視線!」

「あーもうじれったい!何なのよ、その視線って!」




答えを焦らして話すいのに、イライラを隠せないサクラが噛み付く。

話の主だったはずの私は完全に置いてけぼりで、ヒナタは荒れるサクラを必死に宥めている。

そしていのは、思いがけない言葉を口にした。




「のえに向けるシカマルの視線よ!」

「・・・へ?」

「ゲホゲホッ・・・!」




明らかに動揺する私と、分かりやすいくらいにむせるシカマル。

そんな私達の様子に、ここにいる全員が反応する。




「まじかよ!やるな〜シカマル!視線ってどんなだよ、いの」

「俺も別れたと思ってたってばよ!で、なになに?どんな視線なんだ〜?」

「ば、バカなこと言ってんな!めんどくせー」

「だって本当にビックリしたのよ。仏頂面のアンタが、あんなに優しい顔するんだもん」




いのはバカにするでも騒ぎ立てるでもなく、本当に驚いて興奮しているよう。

シカマルが周りから質問攻めされてる間、私はどうしていいのか分からず赤くなった顔を隠すのに必死だった。

ほとんどの人が別れたと思っていたらしく、しかも普段のシカマルでは考えられない行動にみんな動揺している。

そして、誰がどんな質問をしてもはぐらかして答えないシカマルに代わり、今度は私に質問の嵐が。




「お前ら付き合ってどんくらい?」

「そろそろ4年、かな」

「うわ、なっげー!そりゃ俺の入る隙なんてねーよな・・・」

「へ?キバ何て言った?」

「や、何も・・・」

「ねぇ、2人でいる時って何してるの?」

「サクラまで・・・。何って、普通に話したりご飯食べたり」

「ご飯・・・ってまさか、のえの手作り!?」

「え、うん。あ、でもたまにシカマルも作ってくれるし、外食も時々」

「シカマルが!?アンタ、十班の時は何も作ってくれなかったじゃない!」

「え、そうなの?」

「そういえば、長期任務でもシカマルが炊事してるとこって見たことないってばよ!」

「・・・どーでもいいだろ、そんな騒ぐことかよ」

「一大事よ!面倒くさがりのアンタが、のえにはこんなに尽くしてるなんて・・・想像するだけで気持ち悪いわ」

「はぁ・・・めんどくせー」

「おー、否定しねーのな!」

「うるせーよキバ。つーかもう帰りてーんだけど」

「まだ22時なのにか?早すぎるってばよ!」

「もう22時、だろ。明日も任務だからこれ以上酒飲む訳に行かねーからよ」

「本当に〜?のえとイチャイチャしたいだけなんじゃないの〜?」

「・・・・・・」

「・・・本当否定しないわね。ここまでくるとあっぱれだわ」

「いの、そろそろ帰してあげなよ。きっと2人も任務でほとんど会えてなかったと思うから」

「チョウジ・・・ありがとな」

「そうね、悪かったわよ。んじゃ2人共帰って思う存分イチャイチャしなさい。のえ、今度あった時は報告よろしくね〜!」

「ったく・・・行くぞ」

「えっと・・・うん?みんなまたね」




慌ただしい場所を慌ただしく抜け出し、私はしばらくシカマルの後ろを着いて行った。

私の前を歩いていたシカマルも、数歩すると私の隣に来て歩幅を合わせてくれて。

人通りのない道に差し掛かると、自然に左手をとられて握られた。
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