NARUTO Short.

□純粋な恋心
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俺は今、柄にもなく緊張している。

だからって顔には出さないよ、何たって忍だからね。




「カカシさん、」

「分かってるよ。ザッと6人、か」

「囲まれてますね。私は準備出来てます、行きましょ・・・」

「のえ」




今にも飛び出そうとしている、本日の任務のバディであるのえを呼び止める。

突然のことに驚いて見開いたそのブラウンの瞳が俺を捉えた。




「終わったら何食べたい?」

「は?こんな時に何を・・・」

「これを片付けたらすぐに行くからくれぐれもケガのないよーに。じゃ、行くよ」

「ちょっ!カカシさん!?」




後ろから聞こえるのえの慌てるような声に思わず口角が上がる。

初めて2マンセルを組んでから1年、彼女とは何度かバディになった。

俺より10歳も年下だけど、実力は特別上忍レベルだ。


敵はそれ程強くもなく5分程度で片付いた。




「さ、報告書出してさっさとご飯行こーか。何にするか決まった?」

「さすが慣れてますねー、こういうの」

「ん?何が?」

「いっつもこうやって女の子堕としてんだ」




呆れたようにため息をつきながら俺の横を通り過ぎようとするのえ。

人懐こいのえには似合わない拗ねた表情が、栗色の綺麗な長い髪の隙間から覗いて見えた。

このまま逃がす訳もなく、その後ろを俺はゆっくり歩く。





「んー、堕とすようなことした覚えはないんだけどね、俺からは」

「ふぅん」

「向こうが堕ちてるんでしょ、勝手に」

「・・・は、何それ。感じ悪」

「まー俺、誘われる側だから。誘ったことなかったからね、さっきまでは」

「あっそ、そんなの私には関係な・・・・・・え?」




どういう意味、と振り返るのえは困惑顔だ。




「初めてだったから緊張したよ」

「・・・嘘だ」

「嘘じゃない。今だって緊張してる」

「か、からかわないで!年下だからってバカにしないでよ!」




みるみる涙目になるのえは、きっと騙されていると勘違いしている。

好意を抱いてる女にここまで疑われるのは結構キツいな。




「自分から誘うのも、告白するのも、のえが初めてだ」

「何言って・・・」

「好きだよ、のえ」




俺の言葉に再び目を見開くのえを、俺は微笑みながら優しく抱き締めた。
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